第一章
第4話 一日目の終わり
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た。血統書が添えられた状態でな。
学校の帰りに俺がたまたまそれを発見してさ。犬ってあまり好きじゃなかったんだけど、そのときは雨も降っていて放置するわけにもいかなくてさ。段ボール抱えて、家に連れて帰った。
俺の家族は俺以外犬が大好きで、大喜びだったよ。捨てられて苦労が多かった犬だから、クロって名づけられた。真っ白なのにな」
「へー。それでシロなのにクロなのか。面白いね。仔犬の時からずっと兄ちゃんと一緒に育ったから、二人はすごく仲良しなんだね」
「いや、そうでもないと思うぞ? クロの世話は家族がほとんどやってたから。あと、いま言ったとおり犬はもともと好きじゃなかったというか。あのニオイとか結構苦手だしな。
一緒に散歩したのも昨日が初めてだった。だから、一緒に住んではいたけど仲良しというわけじゃ――」
――あ、しまった。
言い終わる前に、ヤバいと思った。
俺の話は入口のところにいるクロにも聞こえてしまうかもしれない。
ついつい、クロと話が通じなかった頃の感覚で喋っていた。またも無神経すぎだ。
そのクロは……入り口近くで顎をペタンと付けて寝ている。
――この姿勢だと、熟睡はしていないんだっけか?
ヤバい。
……。
見ている限りでは、いまの話に反応はしていない。
だが、クロは俺にとってはカイル同様に恩人だし、感謝しないといけない対象だ。
今後は無神経な発言をしないよう、気を付けねばならないだろう。
「疲れてきたせいか、ちょっと自分が何を喋っているのかもわからなくなってきた。寝る」
「わかった! じゃあ続きはまた次に」
「もう勘弁してくれ……」
「へへへ」
長い一日が終わった。
結局、今後のことについては方針が立たないままだ。
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