逆さ磔の悪魔
ターン・ターン・ターン
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でおそらくギリギリ会話が成立する状態と推察します。」
艦長の言葉で、ふむ、と壬生森は考える。
龍驤の偵察機からのデータリンクで、位置関係だけは把握しているが、意思疎通には届かない。
彼等の意思は、彼等の操艦から読み取るより他にない。
「熊野、少し確認していきたい。」
「なんなりと。」
問われた熊野は平素のまま、彼の『確認』を待ち受ける。
「彼等はまだ、戦う意思がある?」
「あるでしょう。彼等は無理攻めの無益さを知っていますが、敗北主義者ではありませんわ。」
「勝つための手段を彼等はまだ持っている?」
「持っているでしょう。まだ、手札を全てショウダウンしていませんわ。」
「勝つことそのものに、手段を選ばないか?」
「非人道的手段でなければ、彼等は必要とあれば選べます。」
壬生森はそこまで聞いて、またモニターを見る。
注視しているのは、前線にいる第一艦隊の針路。
熊野は、ここまでの質問で、壬生森がどうするかを理解した。
彼女達の針路が、こちらを目指したならば、我々はいよいよ動く時だ。
『第一艦隊、転進!こちらの海域に向かっています!』
「やはりか。彼等もまだ戦いを捨てていない。現在対処している深海機影の迎撃を完了次第、迎撃部隊を全員収容し補給。『みのぶ』と『ゆきなみ』はこれより、リバースド・ナインへと向かう。」
壬生森は、インカムの発信ボタンに指を添え、次の句を告げる。
なるほど、士気の盛り上げ方というものを心得ている。
こうやって、あの時も彼は扇動していたのだろうか。
「攻勢に出る。」
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