逆さ磔の悪魔
ターン・ターン・ターン
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、伏せて!」
金剛の見上げる上空、飛び上がって魚雷を手に振りかぶる夕立の姿。
夕立が投げた魚雷は、いつも海面に滑らせる時のようなスマートさはなく、風切り音を伴ってくるくると回転し、宙を舞う。
夕立が投げつけた魚雷が、投下された爆弾とぶつかり、上空で火球に化ける。
爆風の衝撃に、金剛達は海面で揺さぶられながら堪える。
金剛の周囲で爆風で逸れた爆弾が海面に叩きつけられて爆ぜる。
爆炎に囲まれる中、防御場を維持する金剛は前方に更なる苦難を見る。
まだ、選択の余地は、ある。
「thank youネ、夕立。」
「当然のことだよ。金剛さんに何かあったら、提督さんが心配するっぽい。」
「Non,non,Darlingは誰が傷付いても心配するネ。」
「確かに。ですがそうも言ってられない相手のようです。」
神通が見上げた空には、黒い影が群となってこちらに飛んできている。
秋月は以前に動画で見たことがある、イナゴの大移動を彷彿とした。
これが全部、リバースド・ナインが放った艦載機だと言うのか。
「これはなかなかの絶景ネ……」
「どうします?完全に手番を取られたようですが。」
この黒い群、これさえ切り返せばまだ勝てる?
まだ私達は負けてなどいない?
金剛はよくよく考え、そして結論を出す。
「Type3でも積んでおけばよかったネ。赤城、加賀!」
金剛が問うまでもなく、空母の二人は体勢を立て直していた。
矢をつがえ、弓を上空に既に構えている二人は、あとは金剛の選択肢を待つだけだ。
「やる?退く?どっちにするか、決めて欲しいのだけど。」
加賀に問われるまでもない。
金剛は、既に結論付けていた。
「遅滞戦闘をしつつ後方に退避!……キツネの手を借りるのは癪だけどネ!」
無理攻めはしない、が金剛の結論だった。
ここで無理をして、犠牲を出してまで撃破することを、彼はよしとしない。
金剛はしかりと、彼女の愛する者の出すだろう結論を理解していたのだ。
もし、それに背いてでも動かなければいけない時が来るとしたら、そしてこの戦いに『その時』があるとしたら。
その時に迷わずに、決断できればいいだろう。
そして、ここはまだ、その時、その場所ではない。
今はまだ、手を残しているのだから。
「まだ、その時じゃないネ。」
「……下がったか。」
「まだ、抵抗そのものは続いていますが、退いていると見ていいでしょう。」
壬生森は少しだけ浮いていた腰を椅子に下ろす。
思っていたより大きな音がして、やや機嫌を悪くしたようだが、すぐにモニターに向き直る。
「向こうに通信は届くか?」
「ここからだと距離が遠いですな。ブルネイの彼等の距離
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