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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十四話 貸し借りなんて些細な事、です。
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 フィオーナたちが帰った後、ゼー・アドラー残留組の中で、ミッターマイヤーはひそかにそう言い、またほかの諸提督たちもこもごも依頼したのだった。フィオーナ、ティアナの実力を信じていないのではない。あまりにも重すぎる重圧に耐え兼ねた場合の彼女の心情を慮ったのである。

フィオーナたちがイゼルローン回廊に出立するのは、この二日後になる。

* * * * *

 既に開戦が決定されてからというもの、ローエングラム陣営はあわただしい動きを見せていた。実働部隊を担う諸提督たちは艦隊の出航準備に追われ、アイゼナッハを中心とする後方支援部隊は補給計画の立案と航路の確保に専念し、各省庁は遠征軍に対して全面的な協力体制を構築し、帝国全土にもそれを徹底せしめた。
 布令は可及的速やかに全土に広がり、帝国全土はこれといった混乱もなく総動員体制に入った。帝国国民は、長年上からの意志決定がされるに任せ、自分たちでは意思決定ができない体質となっている。それを眺めながら、イルーナの心境は複雑だった。

「民主主義であれば、このように早く動員体制は整わなかったでしょうね・・・・。もっとも、戦時下の自由惑星同盟を除けば、だけれど。」

 彼女はラインハルトにそう漏らしたことがある。この体質は今の戦時下では好都合だが将来別体制――例えば民主主義――を構築するにあたってはマイナスでしかない。そのことは彼女だけでなく、ラインハルト自身もまた自覚していることだった。

 そのさなか、フィオーナを総司令官とする別働部隊約16万余隻が一足先にイゼルローン要塞に一足先に出立したのは帝国暦488年5月15日の事だった。

作戦案をラインハルトらと検討していたイルーナは、顔を上げた。

「失礼します。」

 ローエングラム陣営参謀総長補佐であるレイン・フェリル大将が入ってきた。そして一通の紙片をイルーナに手渡した。それを受け取ったローエングラム陣営の参謀総長の顔色が変わる。万座の視線は彼女の華奢な指先にある紙片に集中していた。

「自由惑星同盟が、早くもフェザーンに侵攻を開始し、同星を取り囲んだそうよ。その数およそ15万余隻。」

 イルーナが暗い顔をしてラインハルトに報告した。その知らせに万座がざわめく。あまりにも電撃的な侵攻ではないかと誰しもが思っていた。

「いかがいたしますか?ラインハルト様。」
「これが敵のプランか・・・・・。」

 ラインハルトは考え込んでいた。フェザーンは見殺しにできない。自治領主府があるとはいえ、形式的には帝国の領土であるからだ。敵もそれを知っているからこそ、電撃戦を仕掛けてきたのか。だが、あまりにも早すぎる。第一、侵攻の報告は、ましてやそれが自分たちに向けられたものであれば、当のフェザーンからすぐに来るはずではなかっ
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