第十一幕その五
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「ただね」
「それでもよね」
「薔薇があるのは確かで」
「じゃあどんな薔薇か」
「こうして観てみると」
「具体的にはね」
「はっきり言えないわね」
どうにもと言うのでした、そしてその皆に先生はといいますと。
穏やかな笑顔で、です。こう言うばかりでした。
「また言うけれどね」
「どんな薔薇でもなのね」
「いいっていうのね」
「先生としては」
「どんな薔薇でも受けるの」
「どの薔薇も好きだからね、いや」
先生はこう言い換えました。
「全ての薔薇が、そしてお花がね」
「先生は好きね」
「そう言うよね、先生なら」
「その博愛主義が先生だよ」
「まさにね」
「うん、こうした場合一つだけ選ばないといけないかというとそうじゃないね」
選ばないといけない場合は先生も選びます、ですがそうでない場合は先生は持ち前の博愛主義が出るのです。
それで、です。先生は言うのでした。
「どの薔薇かは言えないよ」
「そうだね」
「先生は普通にね」
「こうした時はそう言うよね」
「一つの薔薇だと贔屓になるしね」
「僕は贔屓は好きじゃないからね」
これもまた先生のお考えのいいところです、先生は誰かを贔屓したりすることは絶対にない公平な人なのです。
「誰かが贔屓されて邪険にされると嫌だよね」
「どうしてもね」
「そんなのはお断りよ」
「僕達だってそうだよ」
「邪険にされたくないよ」
「だからだよ」
それ故にというのです。
「僕は贔屓は絶対にしない様にしているんだ」
「その心も薔薇なんだよね」
「本当に高貴だからね」
「贔屓は絶対にしないんだ」
「それもいいことだよ」
「うん、学生時代見てきたしね」
その贔屓をというのです。
「いいものじゃなかったからね」
「うん、誰かを贔屓したら誰かが除けられるから」
「除けられると嫌だしね」
「そこからやっかみとかも起こるし」
「本当によくないわね」
「だから僕は贔屓をしない様にしているんだ」
学生時代に見たものからというのです。
「そうして気をつけているんだ」
「そうそう、僕達もそうしていくよ」
「誰も贔屓しないわ」
「何があってもね」
「皆もそうしてくれると嬉しいよ、それで今もね」
薔薇達についてもというのです。
「贔屓はしないよ」
「だからどの薔薇もいい」
「言われたことを受け入れる」
「そうするのね」
「そうするよ、今はね」
まさにと言ってです、先生も薔薇園の薔薇達を観ます。先生はどの薔薇にもそれぞれの奇麗さがあっていいと言うのです。
そうして薔薇を観つつこんなことも言いました。
「薔薇も時代によってね」
「変わってるんだね」
「今も」
「そうなのね」
「そうだよ、青い薔薇もなかったしね」
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