第三章
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「だから時々な」
「狩人さんが言えばですか」
「狼が村に来たと言ってくれ、その時御前さんは絶対に羊達を小屋に入れるんだ」
少年が世話をしている彼等をというのです。
「そして村人達が集まったらわしと二人でもう村に逃げ去ったと言うんだ」
「嘘、ですよね。それは」
「嘘でもいい、しかし本当に出て来た時はな」
その時のこともお話する狩人でした。
「村に来たと言うんだ」
「本当に出て来た時は」
「本当のことを言うんだ」
「その時もですね」
「羊は小屋に入れるんだ」
狼の群れが本当に村に来た時もというのです。
「いいな、いつもだ」
「狼が来たという時は」
「羊達を小屋に入れることは忘れないでくれ、絶対に」
「そりゃ僕も羊は大事ですから」
何しろ羊達の世話がお仕事だからです、少年にとって羊達を守ることは本当に切実なことなのです。
「ですから」
「そのことはな」
「はい、絶対にします」
「そうな、実はこれは御前さんの為でもある」
「僕の為でもですか」
「狼が来たと言った時に羊達を絶対に小屋に入れることはな」
まさにそれはというのです。
「だから絶対にそうするんだ」
「わかりました、じゃあ」
「わしが言ってくれと言った時はな」
「言わせてもらいます」
少年も約束してでした、そのうえで。
羊飼いの少年は時々村人達に狼が来たと叫びました、そしてその都度すぐに叫んだ後で羊達を小屋に急いで全部入れて避難させました。
そのうえで狩人の指示で家畜達をそれぞれの小屋に入れて農具や火を持って集まった村人達に言うのでした。
「もう森の方に逃げていったよ」
「そうか、またか」
「また森の方に逃げたんだな」
「そうなったのね」
「うん、多分皆が集まったから」
少年はいつも狩人を目でやり取りをしつつ村人達にお話しました。
「逃げていったみたいだよ」
「それは何よりだよ」
「しかし最近結構村に来ようとするな」
「狼達もな」
「これまでそんなことはなかったのに」
「ここでな」
「そんなことが増えてきたな」
村人達も心配になってきていました。
「どうもな」
「じゃあ用心が必要だな」
「ああ、家畜を狙ってきてるんだろうな」
「それじゃあな」
「用心していきましょう」
村人達は次第に狼達を警戒する様になりました、狩人はそんな状況を見て次第にほっとしてきました。
そしてです、遂にでした。
少年は森から狼の群れが出て来たのを見てです、びっくりしてです。
すぐに羊達を全匹羊小屋に入れてでした、そのうえで村人達に叫びました。
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