第一章
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新説狼少年
その村の近くの森には狼の群れがいました、ですが村人達は皆その狼の群れのことには気付かずのどかに暮らしていました。
それで狼の存在を知っている村の狩人の人は村人達に狼のことを言おうちしましたがふとこう思ったのです。
「一回言ってそうしてもすぐに忘れるかも知れないな」
こう思ってです、狩人はどうしたら村人達が狼を本気で警戒して備えるか考えました。それでなのでした。
当の狼の群れが潜んでいる森にいる隠者の人に相談してみると隠者の人は狩人に言いました。
「それなら時々言うといいんだよ」
「時々かい?」
「そう、時々ね」
隠者は自分の小屋に来た狩人と向かい合って座ってお話をします。
「そうしたらいいんだよ」
「それはどういうことかな」
「まず狼は実は人を襲わない」
隠者は狼のこのことを言うのも忘れませんでした。
「連中が襲うのは家畜だよ」
「そう、だから村の家畜を守る為にだよ」
まさにその為にとです、狩人も隠者に言います。
「村の皆に狼がいるって知って欲しいんだよ」
「だから御前さんも言うんだな」
「若し狼が村に降りてきたら」
狩人はあえてその時のことを考えて隠者に言いました。
「一体どうなるか」
「それでこそだね」
「そうだよ、その時にすぐ動いてくれないとわし一人が銃を持っても」
狼の群れが村に一斉に来ればです。
「どうしようもないよ」
「そう、狼は大勢だが御前さんは一人だ」
「一人の狩人でどうするんだ」
「狩人を増やすしかないね」
「しかし今すぐになるとな」
それこそというのです。
「どうするかが問題だよ」
「その通り、そしてな」
ここでさらに言う隠者でした。
「御前さんはわしに知恵を借りに来たってことだな」
「そうさ、あんたはずっと色々なところを回って色々な本を読んできたな」
「これでも昔は教会で神父だったんだ」
そのお仕事を若い人に譲って今は村からすぐに入った森の中で静かに暮らしているのです。
「学問もしてきたよ」
「だからそのあんたに知恵を借りたいんだ」
是非にというのです。
「それでわしも来たんだ」
「そうだな、そしてわしも知恵がある」
「あるんだな」
「ああ、狼は本当にいるんだ」
ここから話す隠者でした。
「問題はその狼達が村に出て来た時だ」
「村人達がすぐに備えてくれたらいいんだが」
それでもというのでした。
「あののどかさではな」
「悪い意味でのどかだからな」
「油断し過ぎだ」
「狼がいるというのに」
「それでその知恵を借りたい」
狩人は隠者にあらためて言いました。
「それがあるならな」
「わかった、では今から話そう」
「それでは頼む」
狩人は隠者に顔を前に大
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