第三章
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「大阪行ってそこで大阪城を見て京都と奈良にも行くんだよ」
「京都とか奈良にもですか」
「行くからな、楽しみだよ」
「新幹線に乗れるなんて」
自分がとだ、先生に言われてもまだ信じられないという顔の幸太郎だった。この頃の彼はもう立派な顔立ちになっていた。子供の頃とは違って。
「嘘みたいだよ、僕が」
「おい、まだ言うのか」
「新幹線なんて」
「学生割引だから安いんだよ」
先生は何故乗れるかの種明かしもした。
「それでだ、修学旅行だからな」
「それでなんですか」
「団体で乗れるからな、それじゃあな」
「新幹線もですか」
「楽しめよ、本当にあっという間に大阪まで着いて揺れもしないからな」
先生は新幹線が揺れないことも話した。
「新幹線がどんなのか味わえ」
「わかりました」
幸太郎は自分の席から先生に応えた、そしてだった。
彼は修学旅行の時にまずは東京駅に入った、この駅自体は結構利用してきたが新幹線のホームに入ってだ。
そのうえでだ、彼は思わず言った。
「凄く長いよな」
「ああ、俺達の学校の最寄りの駅とかとな」
「全然違うな」
「どれだけ長いんだよ」
「こんなホームあるのかよ」
友人達も驚きを隠せずに言う。
そしてだ、皆で向かい側の線路に停まっている新幹線を見て言った。白と青のカラーリングで最初の車両が鳥の様な形のその電車を。
そうしてだ、彼等は今度はこんなことを言い合った。
「あれに乗るんだよな、俺達」
「そうだよな、これから」
「それで大阪まで行くんだよな」
「あっという間に」
「嘘みたいだよ」
また言う幸太郎だった。
「この東京から大阪までなんて」
「だよな、本当にな」
「嘘みたいな話だぜ」
「しかも新幹線って揺れないんだろ」
「電車は揺れるよな」
「どうしようもない位にな」
彼等の中ではそうした認識だ、ここにいる者の多くは毎日その揺れる電車で通学をしているから実感として認識しているのだ。
「それが揺れないとかな」
「凄いな」
「マジかってなるよな」
「どうしてもな」
「それを今から乗って確かめるんだよな」
幸太郎は自分の目に映っているその新幹線を見ていた、その新幹線も大阪に行くのだ。
「僕達自身が」
「そうだよな」
「実際に乗ってな」
「そうしてな」
「確かめるんだよな」
「あっという間に揺れない電車で大阪に行くなんて」
また言う幸太郎だった。
「信じられないけれど」
「それが本当かどうか」
「乗ればわかるよな」
「あと少しで俺達が乗る新幹線来るしな」
「楽しみだな」
「ホームとか下も全く違ったしな」
自分達が知っている駅とはというのだ。
「新幹線の中だってな」
「どんなのか楽しみだよ」
「俺達が今まで見た
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