第一章
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新幹線
戦争が終わり日本は復興から発展に向かおうとしていた、その中で。
東京から大阪に向けて当時の人達からしてみれば夢の様な計画が発表された。
「えっ、東京から大阪を!?」
「三時間か四時間でか」
「一気に進むのか?」
「そんな列車出来るのか」
「しかも列車で」
まだ蒸気機関車がある時代だから誰もが驚いた。
「まさかな」
「そんなことがあるのか」
「嘘だろ」
「東京から大阪まで三時間や四時間で行けるとかな」
「しかも電車でとか」
「そんなことあるものか」
「日本で」
まさか自分達の国ではというのだ。
「電車も全然ないのにな」
「ああ、まだまだな」
「蒸気機関車とかディーゼルばかりなのに」
「それであるものか」
「電車で東京から大阪までとかな」
「そんな計画出来るか」
それこそというのだ、都内がようやく全て電車となったばかりだった頃だ。しかし。
この計画は本当だった、何とだ。
東京から大阪まで瞬く間に行ける電車が実際に造られることになった、この列車の名前は新幹線といった。
その新幹線の話を聞いてだ、まだ子供の織田幸太郎は話をしてくれた父親に目を瞬かせて尋ねた。
「東京から大阪までなんだ」
「ああ、本当に三時間か四時間でな」
父は我が子に笑顔で答えた。
「行けるんだぞ」
「この東京から大阪まで」
「すぐにな」
「東京から大阪までって一日かかるんじゃ」
幸太郎、まだ子供の彼の感覚ではそうだった。
「それがなんだ」
「ああ、一日どころかな」
「三時間とか四時間で」
「行ける様になるんだ」
「嘘みたいだね」
幸太郎は信じられないといった顔で言った。
「それって」
「ああ、しかしな」
「本当になんだ」
「そうした電車が出来るんだ」
「凄いね」
「そうだろ、東京もやっと空襲の後がなくなってな」
何度も行われたそれのだ、その度重なる空襲の為東京はほぼ完全に焼け野原になってしまった。だがその焼け野原も遂になくなっていたのだ。
そしてだ、それからさらにというのだ。
「今度はな」
「大阪までだね」
「本当にあっという間にな」
三時間や四時間でというのだ。
「着くことになるんだ」
「信じられないことだけれど」
「そうだな、今はとてもな」
「だって横浜に行くだけでも」
東京から近くのその街に行くだけでもというのだ。
「結構時間かかるよね」
「今はな、しかしな」
「大阪になんだ」
「そうだ、本当にな」
「三時間や四時間で」
「行ける様になるからな」
「本当だといいけれど」
まだ言う幸太郎だった。
「それでもそんなことは」
「まあそれは実際に出来てな」
「そうしてだね」
「わかるさ、完成
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