第一章
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女子力
黒木泉水は高校に入ってもこれといってしたい部活が見当たらなかった、それで入学して暫くは帰宅部だったが。
その彼女にだ、母の朝美は聞いた。
「高校では部活しないの?」
「どうしよう」
泉水は母の問いにこう返した、黒髪は腰まで伸ばしていて右目が隠れている感じだ、目はどうにも死んでいる感じで表情は幾分暗い。背は一四九位で体形は胸の小ささが目立つ。着ている服は夕食なので今は私服だが上下共黒のジャージである。
「色々探してるけれど」
「これといってなの」
「入りたい部活は」
そして楽しみたいものはというのだ。
「ないから」
「あんた中学の時は手芸部だったじゃない」
それでと言う母だった。
「それだったらね」
「高校でも手芸部に入って」
「やってみたら?」
「何かうちの高校の手芸部独特で」
泉水は母にぼそぼそとした口調で答えた、喋り方はどうにも暗い感じだ。しかも声のトーンも低い。
「何か芸術になってて」
「普通の手芸じゃないの」
「私がしたいのは普通の手芸なのに」
それがというのだ。
「刺繍で絵を描くとか」
「それは凄いわね」
「そこまでしたくないから」
「だからなのね」
「手芸部にも入られなくて」
「他の部活もなの」
「これといって」
「だったらね」
娘のその言葉を聞いてだ、母はこう言った。
「アルバイトしてみる?」
「アルバイト?」
「お母さんの知り合いでケーキ工場で働いている人いるの」
「ケーキ屋さんじゃないの」
ケーキと聞いてだ、泉水は母に返した。好物の鯖の味噌煮を食べながら。他のメニューはもやしのおひたしとほうれん草のコンソメスープだ。とりあえずケーキとはあまり縁がないメニューと言えた。
「ケーキ工場って」
「コンビニとかスーパーでもケーキ売ってるでしょ」
「そうしたケーキを作ってるの」
「そうよ。そこで働いてみる?」
部活をしないならとだ、母は娘に勧めた。
「そうしてみたら?」
「時間を潰せてしかもお金も入る」
「悪いお話じゃないでしょ」
「場所何処?」
泉水はまずはこのことを聞いた。
「学校かお家に近いの?」
「駅で言うとね」
母が言った駅は家と学校の間にあった、急行も停まる駅で泉水が楽に行ける場所だった。
「そこのすぐ近くよ」
「そこだったら学校帰りに」
「すぐに行けるでしょ」
「うん」
母にそのぼそぼそとした口調で答えた。
「楽に」
「それでバイト料はね」
「それは低くてもいいけれど」
「これだけよ」
母が言った持久を聞いてだ、泉水は目を思わずその目を動かした。
そしてだ、こう母に言った。
「それなら行く」
「行くのね」
「凄くいい条件だから」
「その代わ
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