第四章
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そして信じていなかった者達もことここに至ってはだった。
信じるしかなくなった、それでイーサーに平伏して口々に言った。
「疑って申し訳ありません」
「ましてや処刑しようなぞと」
「何という非礼」
「罰はお受けします」
「何としても」
「案ずることはない、そなた達が若し許されないならな」
その時はとだ、イーサーは彼等に明るく笑って述べた。
「既に私を捕らた時にだ」
「その時にですか」
「既に罰を受けていましたか」
「これもまたアッラーの思し召しなのだ」
その神の考えのことも話したのだった。
「人が疑ってしまう、しかしその目で確かなものを見ればだ」
「今の我々の様にですか」
「信じるというのですね」
「そうなるものだ、だからだ」
それ故にというのだ。
「アッラーは私を通じてそなた達にも見せたのだ」
「そのお力を」
「そうなのですね」
「そうだ、そしてだ」
イーサーはさらに言った。
「そなた達に言われているのだ」
「アッラーは偉大なり」
「そのことを」
「そうだ、私はそなた達を恨んでも憎んでもいない」
このことははっきりと告げた。
「その必要が一切ないからだ、しかしそなた達に求めることがある」
「アッラーを信じること」
「そのお力を絶対だとわかること」
「そうだ、アッラーは偉大である」
イーサー自身もこの言葉を出した。
「そのことはわかったな」
「はい、これで」
「よくわかりました」
これまでイーサーを疑い処刑しようとした者達もわかった、それでだった。
イーサーの言葉に頷いてそのうえで応えた。
「以後アッラーをこれまで以上に信じます」
「そのお力を疑いません」
「そうしてもらいたい、では礼拝の時間になった」
それを知らせる音が鳴った、イーサーはその音を聞いて彼等に話した。
「それでは今からな」
「はい、それでは」
「今よりアッラーに礼拝をしましょう」
「これより」
「そうしましょう」
イーサーの弟子達も家族も信じていた者達もそして信じていなかった者達も誰もがだ、イーサーと共に礼拝をした。以後イーサーを疑う者はなく彼は預言を続けた。
イーサーつまりイエス=キリストはイスラムでは死んでいない、身代わりがいてそうして生きている。そして最後の時にムスリムとして姿を現わすと言われている。
そのことから生まれた物語である、コーランとは違う話になっているがこのことは物語として読んで頂きたい。そうした物語であると。
死んでいない 完
2018・5・12
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