第四章
[8]前話
「必ずな」
「そうされますね」
「そしてだ」
さらに言うのだった。
「カエサルの後継者になる」
「ローマにおいてですね」
「彼がやり残したことを果たそう」
「オクタヴィアヌス殿ではなく」
「私が後継者だ」
実はカエサルが自分の後継者にと言ったのはオクタヴィアヌスだった、だがアントニウスは軍人であり力を持つが故に言うのだった。
「その力がある」
「そうですね、では」
「決めた、オクタヴィアヌスと衝突してだ」
「戦う時が来れば」
「私は戦う、彼には優れた友が揃っているが」
そしてその彼等が戦いの場で彼を助けるがだ。
「私の軍の才と経験はローマ一だ」
「ならばですね」
「私が勝つ、信じて共にいてくれている将と兵達も多い」
それ故にというのだ。
「私は勝つ」
戦えばというのだ。
「そしてそなたはこれからもだ」
「エジプトの女王ですね」
「そうなる、もう魚を釣りはしない」
「国をですね」
「それを釣る」
まさにというのだ。
「そうしよう」
「それでは」
「さて、王宮に帰るか」
「そうしてですね」
「政治の話をしよう」
釣りを止めてというのだ。
「これからのことをな」
「はい、是非」
「そしてだ」
「国をですね」
「釣るとしよう」
クレオパトラに応えてだった、アントニウスは釣りを止めて立ち上がり彼の家臣達のところに戻り軍議を開いた。それからはクレオパトラと遊ぶよりも政治に力を入れオクタヴィアヌスに備える様になった。
このことは歴史にある一幕だ、アントニウスは残念ながら敗れたことは歴史にある通りだ、しかしその最期は実に見事であったことも歴史にある。このことにはクレオパトラとこの一幕があってのことであろうか。敗れはしたがアントニウスは見事だった、クレオパトラもそれがわかっていて彼に国を釣れと言ったのであろうか。そう思うと実に面白いと思いここに書いておくことにした。一人でも多くの人にこのことを知って頂ければ幸いである。
魚を釣るよりも 完
2018・3・18
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