巻ノ百五十 本丸の死闘その七
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「誰もが」
「そこまでの武芸を備えておられる」
「だからこそ」
まさにというのだ。
「それが出来ます」
「そうですか、しかし」
「それでもですな」
「それがしは手裏剣だけではなく」
「剣術もありですな」
「左様、そして」
右手は逆手、左手は順手に持った刀で攻めつつの言葉だ。
「さらにあります」
「そしてその術を」
「今よりです」
「使われますか」
「そうさせて頂きます」
こう幸村に言うのだった。
「今より」
「左様でござるか」
「では伊賀忍術の秘奥義の中の秘奥義」
まさにそれをというのだ。
「出しましょうぞ」
「それでは」
「この術ならば真田殿を倒せまする」
服部も自信を以て述べた。
「それを使わせて頂きます」
「ではそれがしも」
「真田殿もですな」
「最後の切り札を出しましょう」
服部が伊賀忍術の秘奥義の中の秘奥義を出すならというのだ。
「そうしましょう」
「それでは」
「これが決着になりますな」
「ですな、それでは」
「勝負!」
二人は一旦間合いを離した、そうして。
二人はそれぞれの最後の切り札を出した、そして激突に入った。
天海はこの時江戸にいた、そのうえで夜の空を見ていた。
その空を見てだ、彼は傍にいる弟子達に言った。
「星が落ちたな」
「はい、今」
「大きな星が」
弟子達も夜空を見ていた、それで師匠に応えることが出来た。
「確かに」
「相当に大きな星ですな」
「これまで天に一際大きく黄色く輝いていましたが」
「その星が」
「まさに太極の如き星であったが」
そこまで大きな星だったがというのだ。
「今落ちた」
「あの星はまさか」
「まさかと思いますが」
「そのまさかじゃ」
これが天海の返事だった。
「そなた達の思った通りじゃ」
「それでは」
「間もなく」
「うむ、あの方がこの世を去られる」
そうなるというのだ。
「そしてな」
「そうしてですか」
「これよりは」
「天下は完全に定まっておる」
夜空の星達を見てまた言った天海だった。
「それでじゃ」
「これからは」
「あの方がおられなくなっても」
「天下の柱は人から法に移った」
そちらにというのだ。
「ならばな」
「もうですか」
「天下は誰かがお亡くなりなっても乱れぬ」
「法が確かなら」
「そうである限りは」
「そうなった、この江戸にしてもじゃ」
今自分達がいる街もというのだ。
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