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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
最終章 蛇王再殺
第三十八話 宝剣降臨
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宝剣ルクナバード、お主の力を借りたい。身勝手と思うかもしれない。それをするにはまだ人は未熟だと思うかもしれない。だが、いつまでも未熟なままで甘んじている訳にはいかないのだ。人を信じ、未来を託してもらえないだろうか?」
「ルクナバード、俺をこの世界に呼んだのはお主なのだろう?俺は、ここまで来たぞ。大切なものが掌から零れぬように、ここまで守り繋いで来たぞ。そしてこれからもこの少年を、その理想を俺が守る。ザッハークと相討ちになんて絶対にさせない。この少年が望んだ世界を決して壊させずに守り通す。だから、安心してここに来てくれ。一緒にザッハークを倒そう。そして、こいつらが笑顔で幸せに暮らす様を一緒に見届けようぜ?」
風が逆巻いた。雨滴が無数の銀鎖となって私たちの身にまとわりつき、呼吸が苦しくなった。だが、それでも私たちは懸命に目を開けて風雨のただ中に立ち続けた。
足下の大地から白金色の輝きが満ちてきていた。そしてそれと共に風雨の勢いは衰えていった。私が何かに誘われるかのように手を伸ばすと、それに答えるかのように私の手に収まり、心強い重みを伝えてくるものが現れた。宝剣ルクナバードが、私の手の中に握られていた。
雨が私たちの体を叩くのをやめてどれほどの時間が経過したのか判らない。気づくと、周囲には私の配下たちが跪いていた。泥で、雨水で、服が汚れ、濡れることをも厭わずに。
「我らが国王よ」
ダリューンの声が震えていた。ナルサスが言葉に詰まったまま、ルクナバードを納めるための鞘を両手で差し出した。鞘を受け取り、ルクナバードを納めたその瞬間、それは起こった。
◇◇
やった。ルクナバードが鞘に納められた。抜き身であれば太刀打ち出来ぬが、そうでなければどうということもない。弟子たちに尊師と呼ばれたザッハーク様の忠実なしもべである儂は、長さ四ガズ(約四メートル)の巨大な蛇の姿に変じ、ルクナバードに躍り掛かり、上半身でこの宝剣に巻き付いた。アルスラーンの手はルクナバードから離れた。
何者かが儂の前に立ちはだかった。怜悧な顔立ちを緊張にこわばらせた女、確かラジェンドラ王子の臣下の諜者で、名をフィトナと言ったか。命知らずめが、まずお主から血祭りにあげてくれよう!儂はこの女の首に巻き付いた。
「ぐうう・・・」
女の顔が苦悶に歪む。その頭髪がみるみる内に黒から灰色へと変わっていく。他の三人の諜者の女がそれを見て息をのむ。見たか、儂はザッハーク様の恩寵によって、触れたものの生命力を奪い、自らの魔力と変えることが出来るのだ。
儂の中に急速に流れ込んでくるものがあった。この女の生命力だ。…そのはずであったが、何かがおかしい。むしろ儂の力が奪われていくような、何なのだ、これは。
「幻術ですわ、尊師。それは芸香の束でございます
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