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汝(なれ)の名は。(君の名は。)
06神器、鉄の伝来
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出しが行われ、ボウガンの増産、青銅器の供出、鉄器生産の準備が開始された。
 冬守での実験が成功すれば、すぐさま周囲の村でも「出雲側」でありさえすれば、同じ事が行われ、神々の技術が下げ渡される。

 光より早いと言われる女の噂話でも、綿花から糸、麻からも糸ができると知らされ、編み機、織機を作れば、神から下げ渡されていた「羽衣」を纏うことができるのだと、伝言ゲームで伝えられて行った。
 ヨツハ様の命令で蚕虫、蛾の幼虫までが探し出され、屋根裏部屋で桑の葉を与えて繭を作らせ、繭と蛹になった所を煮て、絹糸を生産する体制も始まった。
 中国の姫が嫁ぐとき、帽子の中に蚕を隠して嫁入りして、初めて他国に生産技術が漏洩したと言われるほどの、国家秘匿事項まで冬守に伝来した。
 女からすれば、化粧品や綺麗な衣服、宝石は「マリエ、最優先事項よ!」なので、こっちの方が大事件であった。

 ただ、ヨツハ様はやり過ぎてしまった。
 出雲の神という宗主を失い精神的な支えを無くして、日和見的な行動を取って援軍も出さず、諏訪の臨時政府まで焼かれ、残った神々まで打ち果たされていれば、心まで折られて朝廷に屈服して無血開城できた。
 新しい神から、神にしかできない技術や製品を与えられていれば、同じように驚かされ心酔して、農業指導、医療指導なども受ければ恩を感じて、もし子供の命など救われれば、一瞬で神への感謝を感じて、子々孫々まで感謝を伝える。

 しかし、出雲が陥落して焼かれ、京都、奈良、大阪、神戸、滋賀、富山、名古屋、あらゆる場所が出雲の残存兵力の受け入れを拒否して、直轄地であった諏訪にまで逃げるしかなかった旧勢力。
 既に勝敗は決していて、諏訪に立てこもった少数を討ち取られれば、日本は一つの勢力、渡来人による完全制覇が終わり、牛耳を執って覇を唱えられるはずであった。
 そこに神憑りによる巫女(シャーマン)が出現して、今までは神の技術でしかなかった文物を下げ渡し始め、明らかに朝廷よりも高級な品々と医療技術、農業技術を直接供与してくれる。
「すべての者っ、牛の痘瘡に感染しておけっ、さすれば痘瘡では死なぬっ!」
 その技術を賜るには、出雲側に残るしかない。
 
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