暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/BBB ー血界戦線・英霊混交都市ー
ハンバーガーは雑な食べ物という主張はマッ〇と〇スの違いが分からない奴の理屈だってはっきりわかんだね、っていう短編
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も及ぶバーガーの山をわずか数分で全て空にした。さて、栄養補給を終えたからにはごみを捨てて町を回るか――そう思いゴミを整理しようとすると、何やらネジが熱心にバーガーの包み紙を一つ掴み上げてフオオ、と唸っていた。

「その包み紙がどうかしたか?」
「知らないの〜!?ジャック百面相ですよ〜!!」

 言われて見てみると、包み紙の内側にジャック&ロケッツの公式キャラクターであるジャックの面がプリントされていた。何とも貧弱そうなアメコミヒーロー風の男が絶妙に腹立たしい顔をしている。というか、実際にコミックもあると聞いた気がする。
 ジャンクフードの分際で妙な所に妙なものを入れているな、とAオルタは若干ジャック&ロケッツの評価を内心で下げた。彼女は無駄を嫌うからだ。

「本当は店内で食べる奴にしか付いてないってレオくんが言ってたけど〜、店員さんが間違えたのかなぁ〜?こんな間違いなら何度でも期待しちゃうかも〜!」
「こんな無駄な物の何がそれほど喜ばしいのか私には理解できん」
「うーん……」

 ネジは暫くその紙を物欲しそうに眺めていたが、やがて意を決したように「はい!」とAオルタに突き出した。

「何だ?捨てるのか?」
「あげる〜!」
「………」

 いらない。それがAオルタの頭の中で瞬時に弾き出された結論だった。しかし、そんな微妙な顔を知ってか知らずかネジは紙をAオルタの手の上に乗せる。

「本当はものすごく欲しいけど〜、ぼくもう一つ持ってるので〜。それにオルタさんはレオ以外で初めての人間(ヒューマー)の友達だから〜!」

 友達――人間の。多分彼は、この身が英霊である事を知らないのだろう。しかもその中でもブリテンの王たる自分に友達などと、知らないとはいえよく言えたものだ、とAオルタは冷めた思考で考えた。

 Aオルタは別段ネジを友達だと思ったことはない。バーガー好きであることは一つ評価する点ではあるが、あくまでレオを介しての知り合いでしかない。いや、そもそも自分に友達と呼べる存在など――いや、と思う。

「……契約の証として受け取っておこう。我が身は時によってはメイドでもある」
「……?よくわかんないけど、大事にしてくださいね〜!」

 後になって思えば、いらぬ思考だったと思う。
 だがAオルタはその何の価値もない紙くずを、「レオが来れない際の代理としてバーガーを届ける役割をこなす契約書」と考え直すことで、紙に価値を付与した。もちろんその紙には誰のサインもなく、ただジャック&ロケッツのロゴと共に無駄に濃ゆい顔があるだけだ。それでも、無価値と切り捨てる気にはなれなかった。

 もしかしたら、友達などと呼ばれて柄にもなく嬉しかったのかもしれない。
 これは、ただそれだけの――他の何でもない話だ。
 
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