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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 儚想のエレジー  2024/10
24話 真意
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っている公算さえ高い。軍については精々賊程度の悪さしか出来ないだろうが、あの老爺はレッドプレイヤーと同列の危険度に位置付けねばならない相手ということは想像に難くない。一般的な判断基準を適応して良いのかさえ分かったものではないが、疑念に拘泥していてもこちらが身動きを失してしまう。


「分かった。せやけど、次の目的地っちゅうんはどこなんや?」
「情報のプロと落ち合う場所。どこかはまだ未定だが」


 言ってしまえば、情報のプロとはアルゴのことだ。
 俺がプレイヤー相手に慣れない情報収集を強行して時間を掛けるよりも、マイナーなトレンドまで商品として揃えているであろう情報屋に頼ってしまった方が断然速いという見解だ。ついでにティルネルの目的まで始末がつけば尚良い。流石に只事ではない現状で薬草探しなどと呑気なことを言っていられる場合ではないことはティルネルも理解の上だろう。だが、おざなりにしてしまうのも気が引けるし、あわよくばアルゴに任せてしまおうという策だ。
 それだけ告げ、数か月ぶりにフレンド欄が表示されたポップアップウィンドウからアルゴの名前を探し当ててタップし、短めのメッセージを送信後待つこと数分。返信を受け取って待ち合わせ場所の指示を確認するべくメッセージを開封する。


「待ったカ?」
「うぉぅ!?」


 目に映った長文を読み進める間もないうちに、突如として背後から掛けられた声に内臓が浮くような感覚に襲われる。つられて縮こまるティルネルを後目に音源である背後へと視線を向けると、懐かしい顔が悪戯っぽい表情を向けていた。


「………隠蔽スキルはカンストしてるんだろう? その変わり映えのしない装備でどうやって気配消してるんだ」
「オネーサンのレベルともなると、もうスキルがどうとかいう次元じゃなくなるのサ。………で、今日は珍しくお出掛けカ?」


 腫物を避けるように、器用に会話を繋げるアルゴの気遣いには感服させられる。
 そもそもアルゴとはグリセルダさん救出時に僅かな依頼をしてから音信不通となっていた。その当時の関係者やレッドギルドの所在等、諸々の情報から参照すれば俺が何をしたのかは彼女には容易く知られることだろう。グリセルダさんの所在を眩ませる為に行動するように頼んでおきながら今日まで何も音沙汰無く過ごしてきたのは申し訳ない限りだが、それを糾弾せずに自然体で接してくれているのは、今はとても有難い。


「まあ、そんなところだ」
「外に出て歩けるようになっただけ回復したってことだナ。引きこもりにならないでヨカッタヨカッタ。というワケで、懐かしい顔もあるんだし早速お仕事のオハナシでもしに行こうカ」


 言うなり、踵を返して主街区の中心地、転移門広場を経由して五十層主街区《アルゲート》へと移動する。
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