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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
第二章 神徒駆逐
第三十五話 皇帝葬送
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「うむ、それでこそ、私の見込んだ男だ。覚悟の定まらぬ小悪党より、覚悟を決めた大悪党の方が遥かに好ましい」
「何だか褒められている気がしないのだが…」
「…他人の前でノロケ話などしないで貰いたいものだな。それでどうするつもりだ?やはり私を殺すのか?」
おっと、ギスカールをそっちのけにして話を弾ませすぎたな。少し黙るか。俺とミリッツァは互いを見ながら、口の前で人差し指を立てた。
「どうするつもりも何もな。いちいち聞かねば判らぬとは、物分かりの悪い御仁だ」
ナルサスがため息混じりにそうこぼした。それを聞いて、やはり自分は死ぬのかとギスカールは肩を落とした。
「ラジェンドラ殿、以前貴方は笑えるお話だと言って優しい王様の話をして下さったことがあった。私はそれからずっと考えていたことがあるのだ」
ああ、優しい王様のお話ね。確か、その話をアルスラーンにしたのはフゼスターンのミスラ神殿に行く途中のことだった。
とある豊かな国に優しい王様がいました。その国は余りにも豊かだったので、お金やお宝を奪おうと周りの全ての国が狙っていました。ですが、その王様には優秀な家来がたくさんいたので、周りの国は何度戦争を仕掛けても敵わず、王様は余りにもお優しいので、「もうこんなことをしてはいけないよ」と敵の王様を諭すばかりで決して殺そうとはしませんでした。自分一人ではどうしても敵わないと気付いた他所の国の王様は、豊かな国を狙う他の何カ国かと手を結びました。それでは優秀な家来がたくさんいてもどうしようもありません。優秀な家来は一人倒れ二人倒れ、遂には数人だけになり、国も荒れ果ててしまいました。混乱に乗じて更に多くの国が攻め込んできたので、目も当てられない有様になりました。これ以上大切な家来を死なせる訳にはいかないと優しい王様はある時家来を庇って死んでしまいました。王様はまだ独身だったので、王様がいなくなった国をたてなおせる人は誰もいなくて、豊かだったその国はとうとう滅んでしまいました。後世の人達は王様が優しくても、結局誰も幸せにならなかったねと笑いましたとさ。めでたくなし、めでたくなし。
まあ、何処かで聞いたような話だよな。蛇王こそ出ないものの原作ってのは大体そんな感じの話だった気がする。
「為政者とは、王とは、自分だけが気分がいいと思えることをしてはならないのだ。誰かの悪事を優しく許せば、自分はいい気分になれるかもしれないが、相手が反省しなければまた悪事を働き、誰かを傷つけることになる。国や民や家臣が傷つくことになるのだ。私人としては寛容であっていいと思う。だが、公人として、王としては、侵略に対し寛大である訳にはいかない。お主の行った侵略行為は悪だ。百万人もの民が犠牲になったこの悪行を私、アルスラーンは王として許す訳にはいかぬ。ギスカー
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