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真田十勇士
巻ノ百五十 本丸の死闘その四
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「天下一の槍の使い手とも言われる方との手合わせが出来るとは」
「そう言ってくれるか、ではな」
「これよりですな」
「思う存分死合おう」
「さすれば」
「では後藤殿、我等は」
 幸村は傍に大助を置きつつ神老と正対した後藤に応えた。
「いよいよ」
「うむ、その様にな」
「させて頂きます」
 確かな声で応じてだった、そのうえで。
 二人で先に向かった、そうして。
 後藤は槍を構え神老に言った。
「でははじめるか」
「はい、よくぞ生きておられました」
「大坂の戦でか」
「ご無事で」
「あの時わしは死ぬと思っておったが」
「それをですな」
「家臣達に助けられた、わしには過ぎた者達だ」
 今は別れている彼等のことも話すのだった。
「わしの様な者にはな」
「いえ、後藤殿だからです」
 神老はその後藤に話した、彼も当然ながら身構えている。
「優れた家臣の方々がおられ」
「そうしてか」
「後藤殿をお助けしたのです」
「そうであったか」
「士は士を知るもの」
 神老は異朝でよく言われる言葉も出した。
「ですから」
「それでか」
「後藤殿を助けられたのです7」
「そうであったか」
「はい、そしてです」
「わしは生きていてか」
「はい」
 そしてというのだ。
「こうして武士としての本文を果たされているのです」
「友の為に戦うことか」
「それこそ真の武士と思われていますな」
「確かに。わしは武士は何かと言われると」
 まさにと返した後藤だった。
「やはりな」
「己の為ではなく」
「主の。若しくは友の為に」
「戦うものですな」
「正々堂々と」
「ならば」
「わしは今武士の本分を果たそうとしておるか」
 自ら言った言葉だった。
「そうなるか」
「そうかと。それでは」
「うむ、その本分を果たす最後の戦をな」
「しましょうぞ」
 神老は手裏剣を出した、後藤は自身の槍でその手裏剣を弾き返した、そうしてそこから渡り廊下に置いて銀の火花を散らす死闘をはじめた。
 幸村達はさらに進む、渡り廊下を渡り終えそこからは障子を次々と開けていき部屋から部屋に進んでいった。
 しかしふとだった、ある部屋に出ると。
 妙に熱い、そして不思議な雰囲気に満ちた袖の長い紅の忍装束を着た女が出た。その女を見てだった。
 幸村は鋭い目になってだ、こう言った。
「伊賀十二神将最後の一人か」
「そうだよ、妖花だよ」
 妖花は自ら微笑んで応えた。
「あと少しで大御所様のお部屋だけれどね」
「ここから先はか」
「帰ってくれるなら何もしないけれどね」
「帰らぬと言えば」
「だからここに私がいるんだ」
 これが妖花の返事だった。
「その時の為にね」
「ではな」
「うん、じゃあ相手をさせてもらうね
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