巻ノ百五十 本丸の死闘その三
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「天守閣の一番上で闘おう」
「それでは」
二人共話してそうしてだった。
共に天守閣の最上階にまで一瞬で跳んだ、そしてそこで月明かりをその身に受けつつだった。二人は闘いはじめた。
雷獣は雷をその手から放ってそうしてだった。
猿飛を激しく攻める、猿飛はその雷に対して木の葉を手裏剣の様にして投げて対する。木の葉には気が入っており雷を相殺していた。
それでだ、雷獣も唸って言った。
「お見事」
「そう言ってくれるか」
「木の葉で雷を相殺するなぞ」
「ははは、そこに気を入れておるとな」
それでと返す猿飛だった。
「雷といえどな」
「打ち消せると」
「そういうことよ、しかしわしの最後の戦になるが」
「その戦の相手が私で」
「中々面白いわ」
こう言うのだった、言いつつも木の葉を投げて刀も抜いていた。
「雷を使う、ではわしの木の葉とどちらが強いか」
「そを今より」
「確かにしようぞ」
「そうですね」
雷獣も猿飛のその言葉に応えた。
「これより」
「楽しんでのう」
二人で話してだ、そのうえで。
猿飛は雷獣と闘い続けた、それは激しい一騎打ちで駿府城の天守閣においてこれ以上はないまでのものとなっていた。
天守閣での死闘も激しくなっていたがその間に。
幸村達は遂に家康のいる御殿に入った、御殿の中にも腕ききの武士や忍達がいたが幸村と大助、そして後藤は戦い続け。
先に先にと進んでいた、そうしてだった。
渡り廊下に出た、まさにそこからだった。
「ここを進み終えれば」
「そうすればか」
「はい、あと少しで」
まさにとだ、幸村は後藤に話した。
「大御所殿のお部屋です」
「いよいよか」
「緊張されますか」
「武者震いを感じるわ」
後藤はここで豪快に笑って応えた。
「まさにな」
「左様ですか」
「うむ、だからな」
「ここはですな」
「さらにじゃ」
まさにと言うのだった。
「先に進もうぞ」
「それでは」
「うむ、しかしな」
後藤はここでだ、自分からだった。
一歩前に出てだ、こう言った。
「わしもここでな」
「一旦ですか」
「お別れじゃ」
「ここに残られてですか」
「うむ、貴殿と大助殿に先に進んでもらう」
家康のいる場所にというのだ。
「是非な」
「それでは」
「さて、わしでよいか」
「はい」
返事が来た、そしてだった。
三人の前に神老が出て来た、そうして後藤に応えた。
「それがしもです」
「わしが相手でいいか」
「願ってもないこと」
これが神老の返事だった。
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