暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ百五十 本丸の死闘その一

[8]前話 [2]次話
               巻ノ百五十  本丸の死闘
 幸村達は遂に本丸に入った、だがここで幸村は残っている者達に話した。
「大御所殿おられる御殿に行くまでにはな」
「はい、天守閣を」
「あそこにですな」
「入らねばならん」
 十勇士で残っている服部と霧隠に話した。
「まずはな」
「だからですな」
「天守閣にですな」
「これより向かう、そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「これからはな」
「はい、そして」
「そのうえで」
「そうじゃ、御殿じゃ」
 家康のいるそこに行くというのだ。
「そうする」
「わかりました」
「ではその様に」
「していくぞ、しかしまだ十二神将は残っており」
 幸村は彼等のことをさらに話した。
「そしてじゃ」
「はい、さらにですな」
「服部殿もおられますな」
「まだ」
「あの方も」
「大御所殿までの道は険しい」
 このことも言うのだった。
「だからな」
「はい、このまま」
「進んでいきましょうぞ」
「それではな」
 こう言ってだ、幸村は残った者達と共にまずは天守閣に向かった。だがその天守閣の前に一人の男がいた。
「伊賀十二神将の一人氷刃」
「次はお主がか」
「ここは通す訳にはいかぬ」
 こう幸村に言うのだった。
「断じて」
「その断じてを通らせてもらう」
 霧隠が出て言った。
「何としてもな」
「そう言うか」
「そしてお主が何としても我等を止めんとするなら」
「それならばか」
「わしが相手をする」
 こう氷刃に言うのだった。
「そうするがよいか」
「我が刃は鋭く凍る」
 氷刃は霧隠を見据え返した。
「それでもよいか」
「それはわしの霧のことか」
「我が氷に勝てるつもりか」
「そうだと言えば」
「刀を抜くがいい」
 これが氷刃の返事だった。
「相手をしよう」
「それではな」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人は闘いはじめた、氷刃は音もなく間合いを詰めると即座に刃を振るうがその刃は霧隠を切った筈だが。
 切ったその感触がなかった、それで氷刃は言った。
「霧か」
「如何にも」
 霧隠の身体は消えてだ、そのうえで。
 声だけがして氷刃の周りは霧に囲まれた、そこで声だけが言うのだった。
「わしのことは知っていよう」
「天下きっての霧の使い手だったな」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「この霧もだ」
「只の霧ではないな」
「それこそ手元も見えるな」
「確かにな」
 実際に手元を見ると全く見えなかった。
「これまでの霧とはな」
「そして」
 何かが来た、それはというと。
 見えない、それで氷刃はかわして言った。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ