第十幕その五
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「それでよしとするから」
「怖いね」
「社会を一気によくする為にだよね」
「沢山の人達が死んでもいい」
「そう言うんだ」
「そうだよ、だからフランス革命でもあれだけ死んだんだ」
百万とも言われる人達がというのです。
「清教徒革命もかなりの人が死んだしね」
「そうよね、クロムウェルの手によって」
「反対派には容赦しない人だったから」
「アイルランドにも攻め込んで」
「王様だって処刑したし」
フランス革命の様なことはイギリスでもあったのです。
「そう思うとね」
「イギリスも同じよね」
「沢山の人が死んだってことは」
「否定出来ないわよね」
「どうしても」
「それで僕は思うんだ、革命よりもね」
それで一気に社会を変えるよりもです。
「いつも社会をチェックして問題のある場所を一つずつね」
「なおしていく」
「そうして徐々になのね」
「社会を変えていけばいい」
「それが先生の考えなのね」
「そうだよ、そうしていけば沢山の人達も死ななくて済むから」
だからだというのです。
「徐々に変えていけばいいんだ」
「その社会を」
「そうしていけばいいんだ」
「その考えに至ったんだ、名誉革命みたいにいけば理想だけれど」
無血革命であったこの革命の様にです。
「清教徒革命はクロムウェルが独裁政治を敷いて余計にまずいことになったね」
「ええ、王様の力が強かった時代よりも」
「クロムウェルは権力を握ったから」
「しかもクロムウェルって凄く厳しい人だったし」
「さっき言った通り反対派には容赦しない人だったから」
「清廉潔白で自分にも他人にも厳しい人だったのよね」
「そうした人はかえって危ないんだ」
クロムウェルみたいな人はというのです。
「ロベスピエールだってそうだったしね」
「フランス革命の独裁者だね」
「あの人もそうだったの」
「清潔で倫理観は強かったけれど」
「それがかえってなの」
「そうして他の人にも厳しいとだよ」
どうしてもというのです。
「ああしたことになるんだ」
「独裁者になって」
「無理にでも自分の理想を成し遂げようとして」
「それでなの」
「ああしたことになるの」
「そうだよ、多くの人を犠牲にしてしまうんだ」
革命の時にというのです。
「個人的には尊敬すべき人でもね」
「革命の中で力を持つと」
「ああしたことになってしまうんだ」
「沢山の人を犠牲にしてしまう」
「そうなのね」
「それが悲しいことだよ、人間として世の中のね」
先生は達観しつつも悲しい感じになっていました。
「オスカルはひょっとしていい時に死んだかもね」
「あそこから革命は大変なことになるし」
「そのことを思えば」
「オスカルはいい時に死ねたの」
「そうなの」
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