第三章
[8]前話
「フリルやカラーリングを本来のです」
「兵器のものにしてなの」
「そうして頂ければ」
こう言うのだった。
「我々はより有り難いですが」
「けれどこのフリルや色がね」
それがとだ、ピクトリアは大臣に話した。
「魔力が備わっていて」
「それで、ですか」
「敵のレーダーを妨害したり防御力を高めているから」
ピクトリアは趣味で描いたがそうした力も加えていたのだ。
「それがなくなるとね」
「兵器の性能が落ちますじゃ」
「そうなるわよ」
「そうですか」
「だから普通の色とかにしたら」
ピクトリアの好きなフリルやレースを取り除くこともしてだ。
「よくないわよ」
「そうなるのですか」
「それでいいのならするけれど」
「性能が落ちるのなら」
「魔力で速度や機動性も上がってるけれど」
「それでは」
大臣は致し方ないという顔になってだ、そしてだった。
ピクトリアが描いたまなでいた、かくしてこの国の兵器はピンク等の可愛い色で可愛いキャラクターが描かれフリルやレースが付いた乙女チックなものになったが。
性能自体は素晴らしくモンスター退治にも賊の征伐にも活躍しおかしな国も警戒して手出しをしなくなりこれまで以上に平和になった。
それで大臣は将軍や提督達に首を傾げさせながらも言った。
「確かに兵器の外観は平気らしくないが」
「それでもですね」
「性能はよくなっていますから」
「それなら」
「これでいいですね」
「そうなるな、姫様のご趣味は兵器に合わないところもあるが」
それでもというのだ。
「性能がいいのならな」
「それでいいですね」
「兵器は性能が第一ですから」
「それなら」
「このままでいこう」
こう言ってピクトリアが描いた兵器をそのまま使っていくのだった、フリルやレースが付いた可愛いカラーリングの兵器達を。そしてこうした兵器達が他国の注目を集め観光資源となるのだから彼等は余計に驚き困惑するがそれはまた別の話である。
ピンクの戦車 完
2018・8・23
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