暁 〜小説投稿サイト〜
艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第十四話 災厄の少女の采配
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
れた。
凰香を止めた龍田は天龍に近付いて様子を確かめ、やがて安心した様に一息ついてこちらを振り返った。
 
「気を失っただけみたいですから、安心してください」
「そうですか、よかった」

龍田の言葉に安堵の息を漏らす。いかにもな発言だったので思わず身構えてしまったが、よくよく考えてみれば艦娘の生命力は高い。凰香が『普通』ではないのでその辺りのことを忘れていた。
 
「では、提督。よろしくお願いしますね」

龍田はそれだけ言うと、天龍を抱えた艦娘たちを引き連れ足早に去っていった。
その後ろ姿を見送った凰香は早速天龍から預かった無線機を耳に付ける。

『敵艦載機が予想以上に多く、海上に回せる数が足りません!!更に増援をお願いします!!』
『無茶言わないでよ。『翔鶴姉』と『赤城』さんは出撃している上に加賀さんはこの前の件で遠征中なんだから、ただでさえ数が足りないんだよ? こっちの守りも考えると、これ以上数を割けれない。それに避難している子がいる以上下手に攻撃も出来ない。だから早く避難を終わらせてよ』
 
無線では悲痛な声の大淀と淡々とした口調の艦娘が言い争いをしているのが聞こえる。
どうやら主力が出払っていて艦載機の数が足りないらしい。まあ取り残された艦娘たちが居る以上、普通に戦えば味方に誤射してしまう状況でもある。
何にせよ、艦娘が避難出来てないから自由に動けずに戦況が膠着しているわけだ。

(なら、することは一つ)

凰香はそう思うと口を開いた。
 
「えー、言い争いに割り込んですみません。提督の海原黒香です」
 
無線に割り込んで声を出すと、二つの息を呑む声が聞こえた。おそらく大淀と先ほどの艦娘だろう。
 
「返答を待っている暇はないので手短かに言います。艦娘の避難は私が引き受けます。今、この無線を聞いていて演習場にいる奴は自分の居場所を伝えてください。そして、動ける方はその情報を元に探し出してください。見つけ次第、または避難が完了したら無線で報告、大淀さんは避難してきた方の確認を頼みます。全員避難が完了したら改めて教えてください」
『……情報量が多すぎる。発見、避難完了の報告は大淀さんか私への個人無線に回して。その情報が入り次第、逐一報告すれば情報を整理しやすいでしょ。提督達は場所の情報だけ頭に叩き込んで』

凰香の言葉に名前の知らない艦娘が助言を加えてくれる。
確かに場所の情報と発見、避難完了の報告を同じ回線でやったらパンクしてしまう可能性がある。それなら彼女が提案した案に沿った方が情報の錯綜は防げる。
 
「ならその案でお願いします」
『……あんたを信じていいんだね?』
 
無線の先から先ほどよりも温度の低い声が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ