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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第十四話 災厄の少女の采配
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(普通なら生身の人間が飛び出すなんて無謀もいいところなんだろうけど………)

凰香はそう言いながらこちらに銃口を向けてきた敵艦載機を撃ち落とす。
今の凰香はかつて艦娘達を苦しめた『災厄』こと防空棲姫そのものだ。ただハエのように飛び回る艦載機を撃ち落とすことなど造作もない。敵艦隊もこちらに防空棲姫がいるなど夢にも思っていないだろう。

敵艦載機を撃ち落としなが前に進んでいくと、目的地である演習場に辿り着いた。
目の前には爆撃や掃射によって破壊されたテントや物資が詰まった木箱が散乱しており、今だに火を燻らせる残骸や硝煙で見えないが、何処からともなく被弾した艦娘達の多くの呻き声が聞こえてくる。
否が応にも漂ってくる硝煙の匂いと、そこに微かに混ざる鉄の匂い。それが、ここが戦場であることを示していた。

「てめぇ!? 何でこんなところにいやがる!!」

凰香がその光景を眺めていると、横から怒号が飛んできた。
振り向くと、ボロボロの服を纏って鬼のような形相を浮かべた天龍が刀を携えて近づいてきていた。艦載機の掃射で被弾したのか、その肩と足は真っ赤に染まり足は引きずっている。
 
「無事でしたか、天龍さん」
「んなことはどうでもいい!!何でこんなところに居やがんだよ!!死にてぇのか!!」
 
近づいてきた天龍にそう言うと、胸倉を掴まれて顔をズイッと近づけられる。顔を近づけられる際に肩の傷口が見え、割と激しい出血をしているのを確認できた。
 
「天龍さん、その傷では満足に動けないでしょう。動ける子達を連れて早く避難してください」
「はぁ!? てめぇが言えることかよ!!」
 
天龍にそう言うと、当然のツッコミが返ってきた。まあ艦娘達から見ればこの中で一番死ぬリスクが大きいのは凰香なので、その反応が来るのも当たり前である。
 
「てめぇがやつらに歯が立つかよ!!人間風情が調子に乗ってんじゃねぇ!!深海棲艦を殺るのは『兵器』である俺の役目だ!!てめぇは動けるやつ集めて動けないやつに肩貸して避難してろ!!」
「なら、避難途中に敵に襲われたら誰がそいつらを守るんですか? 人間である私では歯が立ちませんから無理ですよ?」

凰香の言葉に天龍は顔を歪ませながら言いよどんだ。たった今、自分が言い放ったことをそのまま返されたのだ。こんな顔になるのも無理はない。
まあ本当は余裕で守りきることができるのだが。

「ああ、先ほど大淀さんにも言いましたが、私はそう簡単に死ぬつもりはありませんよ。悪運だけは強いので」
「そういうことじゃねえんだよ!!」
「それともう一つ、もうすぐうちの空母が出した艦載機が到着します。そうすれば敵艦載機はそちらにに気を取られてこちらへの攻撃が緩くな
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