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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 6
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にが?」

 胸の(つか)えが下りた喜びで、空高く舞い上がる。
 そんな私を、キョトンとした顔で見上げるふたり。

 うん、いきなり何の話? って思うよね。
 だけど私は、聖天女様とふたりのおかげで確信したわ。

「私はやっぱり、人間なんて大っ嫌い!」
 
 アーさんとクロスは似てるから。
 だから、一緒に居たかっただけ。

 この世で綺麗だと思える人間は、やっぱりクロスだけ。
 クロスだけが、綺麗なヒト。

「また、会えるかな。会えると良いな」

 私に柔らかく笑う、優しくて綺麗なクロスに。
 もう一度、会いたい。




 vol.8 【ふときづく、まりあさま】

 アーレストさんを花園に預けてから、約五十分後。

「ごめんなさいね。貴女達が嫌ってる人間を大切な花園に預けてしまって」
「大丈夫です! 起きてたら嫌でしたけど、ずっと寝てますし」
「なにより、聖天女様のお願いですから」

 アーレストさんを迎えに来た私を、精霊達が歓迎してくれた。

「ありがとう」

 ふわふわと風に舞う綿毛みたいに寄ってきた彼女達ひとりひとりの頭を、誤って叩き落としてしまわないように、そっと撫でる。
 感触を気に入ってくれるのは嬉しいんだけど……大きさの違いもあって、宙に浮いていられると力加減が地味に難しいのよね。

「私も連れていってください、聖天女様」
「あら、リースリンデ。……すっきりした顔ね」
「はい! 私、聖天女様が教会に居る間は、ご一緒したいです。なんとなくですけど、アーさんと居たら、もう一度クロスに会える予感がするんです」

 嬉しそうな満面の笑顔。
 他の子達も、精霊族の救助に一役買ってくれた人間や女神が絡んでいると知ったからか、不承不承ながら反対はしないみたい。

 どうしてアーレストさんの傍に居たいと思うのか。
 リースリンデは、その答えを見つけたのね。
 そして、私と同じように『似ている』と感じてたのね、やっぱり。
 アーレストさんとクロスツェル。
 二人に共通する綺麗な金色の目が、互いを連想させるのかしら?

「そうね。近いうちに会う機会があれば良いわね」
「はい! あ、ちょっとだけ待っててください。私は私で、透明な花の実を持っていくので!」
「それなら私が、」
「いえ! 自分で運びます!」

 教会へ戻るついでに連れていってあげる、と言いたかったんだけど。
 あんなにウキウキされたら、呼び止めるのもためらっちゃうわ。

「分かりやすい子ねぇ」

 心優しく義理堅い反面、自然の循環を破壊するものには攻撃的な精霊達。
 私やアリア達やティーの力を持っていたからとはいえ、ここまで彼女達に懐かれるなんて、滅多に………………


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