純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 6
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けど。
「……アーさんの傍を離れたくないと思ってる自分がいるんです」
「あら、恋話?」
「どうしてそうなるんですか。精霊が人間相手に恋愛感情を抱くわけがないでしょう。そもそも、私達精霊にそんな感情は存在しません」
あったとしても、人間のそれとは在り様が違うんじゃないかしら。多分。
話には聴くけど、私達の認識とすり合わせた例がないから……
なんとも言えない。
「人間は嫌いです。聖天女様達が命を懸けて護ってくださったこの世界を、我が物顔で喰い荒らしてるし。それを当たり前の権利だと思ってるし。他の種族がどれだけ迷惑を被っているのかとか、全然考えてない。あんな汚くて醜悪な種族、大っ嫌い」
王都で見た恐ろしいほど傲慢な景色の数々を思い出して、体が震える。
少なくとも、あんな怖気を震う王都にだけは、二度と近寄りたくない。
これだけは確かだ。
「アーレストさんも人間よ? コーネリアの歌声とそっくりな力を持ってはいるみたいだけど」
「だからこそです。人間は嫌いなのに。精霊を心配させてる自覚はあるのにそれでもアーさんの傍を離れたくないと思ってしまうのは何故なのか……。自分でも、さっぱり解らないんです」
人間の世界は嫌い。近寄りたくない。
泉の近くが一番落ち着く。
そう。
人間であるアーさんの近くに居ても、良いことなんかないのに。
ふとした瞬間、アーさんの傍へ『戻りたい』と考えてる自分に気付く。
人間がどうなろうと構わない筈なのにアーさんの体調は気にかけてたり。
支離滅裂よ。
まったくもって、わけが分からない。
「…………私は、なんとなく解るかな」
「え?」
再度頭を抱えそうになった私に、聖天女様が呟く。
「もしかしたら、明日になればリースリンデにも解るかも知れない」
「明日、ですか?」
「リーフエラン達にも許可を貰ったから、明日は一緒に泉へ行きましょう」
「でも」
「大丈夫。きっと、リーフエランとリオルカーンが解決してくれるわ」
「リーフとリオが?」
リーフエランもリオルカーンも私が教会へ行くのを反対してるのに。
そのふたりが、教会へ戻りたがる私の悩みを解決してくれる?
というか、許可って何の?
と、首をひねる私を見た聖天女様は、無言で微笑み、また頭を撫でた。
翌日。
青い空、白い雲、生い茂る緑、色鮮やかに咲き乱れる花々の反転した姿をくっきり鮮明に映し出している泉の畔で。
「……人間ね」
「……人間だわ」
「どうして人間なんかを花園に……」
「全然動かないけど、寝てるの?」
「もう、何を聴いてたのよ。聖天女様がさっき眠らせてから連れてきたって言ってらしたじゃない」
「違うよ
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