Lv64 戦いの勝者
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神殿みたいな建物の中に入った俺は、静かな回廊を真っすぐに進み続けた。
暫く進むと、ドーム状の奇妙な空間へと俺は辿り着いた。
奇妙なと表現したのには、勿論、理由がある。
なぜならそこは、水のように透明な液体が周囲を囲う不思議な空間だったからだ。
その向こうには大小様々な光の玉が、生き物のように幾つも飛び交っていた。
しかも、それら全てが魔力を放っており、且つ、それぞれが違った魔力の波動を発していたのである。
それはまるで、水族館の海底トンネルを思わせるような光景であった。
ちなみにだが、それらの魔力の波動は、普段の生活で感じられるモノのように俺は感じた。
例えるならば、人が持つ魔力の波動や、獣が持つ魔力の波動、虫や水生生物が持つ魔力の波動といった感じだろうか。
周囲の水のような空間には、そんな光が幾つも飛び交っているのだ。
(ここは、一体……。わからんが、とりあえず、進もう)
俺は空間の中心まで進み、そこで立ち止まると、周囲を見回した。
(どうやら、これ以上先は無いようだ。ここで行き止まりのようだな。さて……さっきの黒い存在は門があるとか言っていたけど、そんなモノはどこにもない。まさかとは思うが、ガセか……ン?)
などと考えていた次の瞬間、異変が起きたのである。
(ちょ、マジかよ!)
なんと、周囲の透明な液体みたいなモノが全方位から一斉に、俺へと向かって押し寄せてきたのだ。
俺は成す術無く、その液体に飲み込まれてしまった。
(どわぁぁ! お、溺れるぅぅぅ!)
この突然の事態に、俺は手足をバタつかせ、必死にもがいた。
だが程なくして、俺の中に周囲と同化するかのような感じが現れたのである。
それは何とも形容しがたい気分であった。未だ嘗て経験した事のない現象である。
あえて表現するならば、使っていなかった魂の歯車が繋がり、そして動く感じだろうか。
そう……そんな霊的な繋がりのようなモノを俺はこの時感じていたのだ。
(なんだろうこの感じ……なぜか知らないが、俺の魂が周囲の光達と繋がったような気がする。それによくよく考えてみれば、溺れるなんて事はないよな。ここは現実世界じゃないんだし……でも、この感じは一体……さっきの黒い存在は、ここは俺の中だと言っていた。その後……精霊界と現実世界を繋ぐ狭間の門だとも……ハッ!? そうか……わかったぞ。ここが、ヴァロムさんが言ってた、魔生門なんだ!)
この状況に身を任せるに従い、俺は冷静に今の状況を考えれるようになっていた。
またそれと共に、魔生の法についても、徐々に理解できるようになってきたのである。
(見える……俺が行使できる魔法の発動式が……)
それは不思議な現象であった。
なぜなら、俺が扱える
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