第三章
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「御前さんは冷たい水に入ってもらい」
「シャワーも浴びてか」
「そうしてもらうがいいか、寒いが」
今は冬だ、それでもというのだ。
「それでもじゃ」
「いいさ、俺だってな」
「その連中を始末する為にはか」
「内でもするつもりで来たからな」
だからだと言うのだった。
「やらせてもらうぜ」
「ではな」
こうしてだった、医者はニスタと自分に耳栓をさせてしてだった。そのうえで。
彼に冷たい水風呂の中に入ってもらった、頭には始終シャワーを浴びせた。すると寄生虫の顔達がだった。
呻き苦しむこの世の終わりの様な声をあげた、だがニスタはそれに構わず水風呂に入り続け医者が頭に浴びせる冷たいシャワーを受け続けた。
するとすぐに虫達は弱りだし。
三十分もするとどんどん死んでいき顔は消えニスタの身体は元に戻っていった。一時間もすればだった。
医者は笑顔でだ、自分とニスタの耳栓を外してから彼に言った。
「もうよいぞ」
「まさか」
「感じるじゃろ、惨い気持ちや壊したいと思う気持ちがだ」
「不思議だ、何か」
口調も変わっていた、勿論外見もだ。
これまでの異形の姿から美少年になっていた、その姿で言うのだった。
「嘘みたいに」
「そうした気持ちが消えておるな」
「水風呂に入ってどんどん消えていっていたけれど」
それがだったのだ。
「今はもう」
「完全にじゃな」
「消えたよ」
「そうじゃ、お主を苦しめていた虫達はじゃ」
「これで全部死んだんだ」
「お主は自由になった」
医者はニスタに笑顔で告げた。
「虫達かな」
「そうなんだ、本当に」
「これでな、厄介な虫共じゃが」
「弱点はあって」
「その弱点を衝くとじゃ」
つまり水を浴びせたりその中に浸せばというのだ。
「この通りな」
「消えるんだ」
「うむ、水特に冷たいものには特に弱くてな」
「一時間もしたら」
「この通りじゃ」
「成程、それで僕は助かったんだ」
一人称まで変わっていた、完全に元の彼に戻っていた。
「この通り」
「そうなんだね」
「そしてじゃ、これでな」
「僕は元に戻られた」
「よかったな」
「本当に。何とお礼を言えばいいのか」
「ははは、それはいい」
医者はお礼には笑って返した。
「もうお金は貰ったからな」
「あの札束を」
「それでいい、ではな」
「これでだね」
「お主は自由じゃ、もう組織も虫もない」
それでというのだ。
「安心してじゃ」
「暮らしていけばいいんだね」
「そうするのじゃ」
こう言ってだ、そしてだった。
ニスタを診察所から笑顔で送りだした、以後ニスタは幸せに暮らすことが出来た。もうかつてのバーサーカーの姿は何処にもなかった。
ウィンターシャワー 完
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