第二章
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「ずっとな」
「そうか、そのこともわかった」
「それであんたのところに来たのはな」
「その虫を何とかしたいな」
「あんたどんな病気も怪我も治してくれるんだな」
「人を蘇らせる以外は出来る」
医者はニスタにはっきりと答えた。
「そして御前さんの虫もな」
「何とか出来るか」
「一匹もじゃ」
ニスタの身体の中にいる寄生虫達をというのだ。
「潰すことが出来るぞ」
「そうか、金はある」
すぐにだ、ニスタはケースを出した、開くとそこには札束がケースの中を満たしていた。
「これでいいか」
「そのうちの一つで充分だ」
「一つでいいのかよ」
「何なら二つ貰うが」
「いや、寄生虫がいなくなるなら全部やる」
切実な顔でだ、ニスタは医者に返した。
「この苦しみが逃れるならな」
「よいのか、大金だろう」
「俺にとってははした金だよ」
今のニスタにとってはだ。
「だからいいさ」
「そうなのか」
「ああ、だから治してくれるならな」
「これ全部貰ってもか」
「いいさ」
「生憎だがわしは食う分の金があればいい」
医者は全部というニスタに笑って答えた。
「だからな」
「本当にいいのか」
「ああ、三つ位でな」
「欲のない爺さんだな」
「金にはそんなに執着がなくてな」
「じゃあ何に執着があるんだ」
「それは後でわかる、では治療をはじめるか」
札束を三つだけ取ってだ、医者はニスタにあらためて告げた。
「そうするか」
「ああ、どうするんだ?」
「風呂場に行くぞ」
こう言ってだ、彼はニスタを診察所つまり自分の家の風呂場に連れて行った。そして脱衣場で裸にさせてだった。
あらためてだ、彼に問うた。
「御前さん雨が嫌いじゃな」
「何で知ってるんだ、そのことを」
「その虫はな」
彼の身体のあちこちに禍々しい色と形相を見せている彼等はというのだ。
「実は水気が苦手なのじゃ」
「だから俺が雨にあたると嫌な声を出したんだな」
「風呂も入られんかったな」
「水に浸かろうものならな」
「とんでもない声を出すな」
「マンドラゴラっていうかな」
伝説の植物の名前も出した。
「もうそんなな」
「とんでもない金切り声を出すのう」
「それが嫌でな」
「風呂もシャワーもじゃな」
「ずっと入っていないんだよ、この通り顔が幾つもあるんだ」
寄生虫のそれがだ。
「どの顔も凄い声を出して嫌がるからな」
「それじゃ、何故そんな声を出すか」
「それはか」
「苦手、もっと言えば弱点でな」
「じゃあこの連中は水を浴びたりするとか」
「水の中にい続けてもな」
「死ぬんだな」
ニスタは医者に問うた、
「そうなるんだな」
「うむ」
その通りだとだ、医者は彼に答えた。
「そうなる」
「
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