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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第25話『ゼノブレイドを求めて〜独立交易自由都市へ』
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刀は所詮――人斬り包丁。
地球より生まれ出でし鉄工技術の彫刻品(アーティファクト)の歴史は、一度紐をといていくと果てしなく長い。
神話より……原始期より……中世期より……近世期より……ヒトはとにかく対象物を斬ることにただただ追求し続けた。
迫りくる敵を倒すために――
大切な仲間を守るために――
自分自身の手で神を斬り、そして運命を切り開くために――
故に刀匠は己が『作品』に誇り、ときに刀士は己が『信念』に迷う。
それは、幕末と明治の渦中にあった、『伝説の最強人斬り』もまた例外ではない。正義と信じ、悪と断じて刀を振り下ろしてきたもの――己が運命に盲目となり、『不殺』の人生を完遂するようになった。
逆刃刀――出来損ないの中途半端な刀を『発端』と見るか、『可能性』と感じるか、答えは人それぞれなのだ。

いかなる綺麗ごとを並べたところで、刀の存在は『斬る』以外に意味を持たない。
近代化の進む銃火期に至る『明治』では、もはや力も技も魂も必要としない機械文明に重点が置かれるようになった。

超長距離砲撃砲の首長竜筒火砲(アームストロング)
拠点防衛迎撃砲の回転式機関銃(ガトリング)
そして??機械文明の具現化ともいえる、蒸気推進機関鋼鉄船の……黒船。

これら諸外国からもたらされた機械兵器の存在を、明治維新志士をはじめとする、当代の日本は深刻な脅威と受け止めた。
なにしろ、それまで日本においては戦国時代より続く、単発限定の火縄銃として、せいぜい大玉射出が限界の大筒砲しか存在していなかった。
次世代の戦略兵器に、『鉄材』が実用化されたとなれば、拠点防衛における機銃兵器の装備は最重要課題となる。
だがそうなると、自国防衛戦力以外の問題が生じてくる。

鉄を溶かし、やがて形を整える『鋳造』作業に対して莫大な費用を国が要求する……という点だ。

人――土地――貨幣――資産――それらは国という生命体が生きていくためには欠かせない栄養素。
鉄を喰らい、作品という形にして世に出すには、各地からの大いなる熱量を要する。
それはあたかも、一つの生命を生み出すのと同等の熱量を。
租税。技術。納品。生産。一つの圧縮を得てようやく生み出せるようになり、こうして大量の刀よりも一つの機銃が有効とされる時代となったのである。

しかし、国力で生産できるようになると、今度は別の問題が浮き彫りになる。

卓越した身体能力、凌駕する知能、それらを有する西洋人だからこそ巧みに運用できる――という事実だ。
西洋列強国に対抗するためにも、発展途上国は既存の兵器を凌駕する性能を、新たな機械兵器に求めた。それまで実用化のめどが立っていなかった制空兵器による戦略拡大、高力率化した牽制兵器なのである。しかし、無敵ともいえる防衛機構を造り上げたものの、そ
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