第25話『ゼノブレイドを求めて〜独立交易自由都市へ』
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。家に入る前の隣庫にも、原料となる廃材品が並べられていた。元々は刀をも打っていたが、ルークの父君、バジルが亡くなられた際に廃業したのだという。
事実、代理契約戦争を終えた今の時代では、白兵戦の武具注文は無いに等しい。現在は包丁や鎌などの生活用品を打って暮らしている。
凱がここを訪れた際、ルークが打ったという包丁を手に取ってみたが、その見事な出来栄えは、かの『神剣』と同等の潜在性を秘めていた。
その技術は確かなものだった。
彼の腕は本物だった。
父親に引けを取らない……どころか、バジルを古くから知っているハンニバルも恐らく太鼓判をおすだろう。「神剣の刀鍛冶を名乗ったらどうだ」と。
そう―――凱がここへ来た理由はまさにここであった。
彼ならば、折れたアリファールを打ち直すことができるんじゃないかと。そう思ってここ、工房リーザへ訪れたのだが――
「もうじきルークとリサも帰ってくると思う。一度、ルークにも会っていってほしい」
「――すまない、俺……そろそろ行かなきゃ……」
「どうしてだ?二人とも、きっとガイに……ううん、絶対にガイに会いたがっている。私がそうであったように」
切ない声で凱を引き留めようとするも、刀鍛冶の家族たちの実情を見ると、これ以上とどまるわけにはいかない。
獅子王凱は、命の重さを知っている。
だからこその決断なのだろう。
下手をすれば、ルークやセシリーだけでなく、その赤子にさえ危険を晒しかねない。
「俺がここへ来たのも、何というか、その――セシリーの顔が見たくなっただけなんだ」
我ながら、随分と不器用な言い訳だ。
「……でも!」
あまりにもあっさりしすぎた凱の返答に、むしろセシリーのほうが戸惑いを覚えたほどだった。
「家族みんなで幸せに、セシリー」
そう言って、凱は改めて一礼した。
「だぁ、だぁ、だぁ」
つたない幼子の声。くすぐったい……愛しい子の声。
まるで、凱を送り出すかのように、笑顔で手を振るコーネリアスに、凱はにっこりと笑い、その場を立ち去った。
セシリーと別れ、工房リーザを後にする。
独立交易都市の中心部に向かうまでの間、凱は街道をふらつきながら思案する。
(仕方がない。アリファールの再鍛錬はまた一から出直しだ)
フィグネリアが同席していたら、凱のあまりにあっさりとした態度に、火山のごとく感情を爆発させたのかもしれない。
が――凱が改めて再出発を図るには理由があった。
確かに新たなアリファールはどうしても必要だ。
しかし、一つの家族の幸せを、あえて危険にさらしてまで手に入れるほどの……天秤にかけてもいいものだろうか?
刀を打つ人間にも、カタナを振るう人間にも、双方とも魂の宿らぬ駄痴となる。
そんな状
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