第25話『ゼノブレイドを求めて〜独立交易自由都市へ』
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いかけるスティードにテナルディエに代わって、この場で唯一事実を知るヴォジャノーイが答えた。
「神剣の刀鍛冶の真なる伝承者――バジル=エインズワーズは、とうの昔に死んでるんだよ」
【独立交易自由都市・工房リーザ・上空近辺】
アリファールの竜技――『風影』による超高加速を平然と耐えながら、かつてオステローデからディナント平原へ駆けつけたのと同じ要領で飛行中。生命体の耐熱を奪いかねない流動的風量にさらされながらも、身体には全く異常は感じられない。
気流による飛行進路を見極める――宇宙飛行士時代におけるテストパイロットの訓練で養ったならではの能力だ。
(決して踏むまいと思っていた独立交易都市の大地……だけど、この折れたアリファールと俺自身の心を打ち直すには、ここへ来るしかなかったんだ)
自分にそう言い聞かせながらも、やはり『過去』への記憶はぬぐい切れない。
だけど、自分はその過去も含めて決着をつけにきた。
数刻の空中走破をやり遂げると、凱の青い瞳に懐かしき都市の全景が姿を現す。
(見えてきたな――)
分厚い雲海を『泳いできた』ことを思うと、なぜかサルベージャーのことを思い浮かべてならない。最も、宇宙飛行士も星の海を泳ぐ意味では、サルべージャーと大差ないかもしれない。
ふわり――
くるり――
一舞してアリファールの風による空力特性を、安全着地するために気圧を初期化する。前転と側転を織り成して凱の長髪がさらり――と躍る。
すたりと――着地を終えて、凱の尋ね人である鍛冶師の住処の門をたたく。
(独立交易都市を出るにあたって、あんなこと吐いちまったけど……ええい!覚悟を決めろ!)
過去の出来事もあり、何の変哲もない木製戸が、なぜか分厚い鉄扉にも見えてしまう。
コンコンと心地よいノックをする割には、どこか緊張の音を隠しきれていないようにも思える。
「どちら様ですか?―――――――あ」
開かれた扉の中から赤い髪の女性が現れる。しかし、戸を開いた先の人物にその目を奪われた。
くすんだようなティグルの赤い髪とは異なる印象を与える――まるで情熱を燃やすかのような見事な赤色の髪を。
「やあ―――セシリー」
「……ガイ?……本当に……ガイなのか?」
瞳に涙を浮かばせつつある女性――セシリー=キャンベルが出迎えたのだった。
「――――この……馬鹿あぁ!」
「セシリー?」
「今まで……今まで何処へ行ってたんだ!?この……馬鹿!!」
「……あの時は黙って独立交易都市を出て行って
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