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整備員の約束
4. 暮煙
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「……あ、徳永さんですか」
「はい。……なんか、提督さんからの命令で、ここで身だしなみを整えろと……」
「待ってました。提督さんから話は聞いてます。どうぞ」

 話は美容院にも通してあったらしい。俺が到着するなり、美容師は俺を散髪台へと案内してくれた。美容院だから散髪台という呼び名で合っているのか分からないが……

 姿見の鏡を見ながら、美容師は俺の頭をくしゃくしゃといじる。どうやら俺の髪は、男にしては随分と長い部類にまで伸び切っているらしい。

「ここまで伸びてるなら、長さはそのままで整えるって選択肢もありますけど、どうします?」
「んー……」

――髪も伸びてるな。そろそろ切ったらどうだ?

「……バッサリいく。あとはお任せでいいっすか。俺よくわかんないし」
「了解です。んじゃ短髪でカッコよく仕上げますよ」
「ついでに髭も……」
「うちは美容院なんで剃るのは出来ませんが……髪に合うように整えます」
「よろしく」

 こうして、俺の美容院初体験は、幕を開けた。


 初体験だからそう感じたのかもしれないが、この『美容院』てのは床屋と比べて、客といろいろとコミュニケーションを取らなきゃいけない場所なのだろうか……そう思えるほど、店主は俺との話に付き合ってくれた。

「艤装の調整を担当してるそうですけど……親しい子とかいるんですか?」
「俺達は特に接点ないんで。……あ、まって二人」
「誰と?」
「木曾と小僧……まるゆってやつです」
「ぁあー……重雷装巡洋艦の。彼女、カッコイイですよね。まるゆもなんだか健気な感じがしてかわいいし」
「美容師さんは?」
「川内型の子と親しいですよ」
「へー……一人、艤装でマイク持ってるでしょ」
「自称アイドルだそうですからね」

 そんなとりとめのない話をしながら、美容師さんは俺の髪を切り、整えていく。ハサミを入れる瞬間のチョキチョキという感触が、とても心地よい。

 話をしていてわかったのだが、特に木曾のやつは、この鎮守府の中でもかなり強い部類に入るらしい。美容師さん曰く、特に強いのは川内型の次女らしいのだが……その神通という子が『木曾さんは相当強い』と言っているのを、聞いたことがあるんだとか。

「本人に言ったらダメですよ? 口止めされてるんですから」
「なんで口止めされてるんすか?」
「……恥ずかしいんじゃないですかね。とにかく本人の耳には入れるな……と」
「親しいんですねぇ」
「……ええ。まぁ」

 そう言って俺の髪をくいっと引っ張る美容師さんの頬が、少し赤くなったのがわかった。

 それを見て思い出す。そういえば以前、小料理屋で三人の川内型がキャワキャワと騒いでいた。ということは、この美容師さんと川内型の次女、親しい関係なのか
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