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整備員の約束
3. 人煙
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 ちなみにタバコは吸ってない。なんせまるゆが来やがるからな。

「あいつら遅いな……自分から誘っといて……」
「キソーとまるゆなら、もうしばらくしたら来るよ」

 俺のボヤキが聞こえていたのか、提督さんからそんな風に俺をたしなめた。店内は俺ひとりだけだから静かなもんだ。鳳翔とかいう艦娘の、包丁の音だけがトントンと響く。

「やっと来れた! 徳永さんおまたせしました!」
「よう徳永。待たせたな」

 提督さんの言葉は意外と外れではなかった。言葉通り、ほどなくして引き戸がガラッと開き、まるゆと木曾が店内に足を踏み入れた。

「待ったぜ。おせえよ」
「そう言うなよ。これでも今日、敵艦隊を3つ潰してきたんだ」
「木曾さんすごかったですよ? 敵艦を6隻ぐらい撃沈したんですから!」

 途端に賑やかになる室内。店内の明かりが少しだけ明るくなり、クリーム色に染まった気がした。

 俺の両サイドに陣取った二人は、そのまま提督と鳳翔に『いつもの』と注文していた。ほどなくして出されたものは、木曾の前には徳利とおちょこ。まるゆの前にはコップ一杯の牛乳と大皿いっぱいのポテトチップスだ。

「これから晩飯だろ? なんでポテチなんだよ」
「これ美味しいんですよ? ポテチには牛乳です」
「だってよ。試してみろよ徳永」
「いらねー……木曾こそ試してやれよ」
「遠慮しとくよ。これから飯だろ?」
「二人ともひどい……」

 言葉の割にさほどショックを受けてない様子のまるゆと、おちょこに日本酒を注いだ木曾と三人で、乾杯を交わす。おちょことビールと牛乳で乾杯……なんておかしな乾杯だ。

 その後、今日の出撃時の話を聞かされたのだが……やはり俺が調整した艤装は調子がよく、そのおかげもあって、いつもよりも多く敵艦隊を殲滅出来たとのことだ。

「お前、腕がいいんだなぁ徳永」
「腕っつーか、これが本来の整備員の仕事だろ。元がダメダメだったんだよ」
「いや、実際にお前が調整してくれた艤装は他のやつに比べて動きやすい。出撃前はあんな偉そうなことを言ったが……改めてお前らの重要性が分かったよ」
「……そうか」
「まるゆも今日は全然怪我しませんでしたよ? こう……シュバババ! って感じで相手の爆雷を避けられました」
「よかったなー小僧〜」
「まるゆは小僧じゃないです……でもホント、調子良かったですよ!」
「ああまったくだ。ホント、徳永さまさまだな」

 いつの間にか自分の前に置かれたニラのおひたしに箸を伸ばし、木曾はそれを口に運んでいた。その横顔は、どこか楽しそうだ。

 俺と木曾の前に、なんかの魚の刺し身が乗った皿ががコトリと置かれたときだった。木曾はこちらを振り返り、いつものニヤッとした笑顔を浮かべ、俺の顔を真っ直ぐに見つ
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