暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
第2章 鬼神の目にも涙編
Story 17 尻尾の掴み合い
[7/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初

そして扉から一歩外に出たところでマスターは立ち止まり、ミラに背を向けたまま言葉を紡いだ。

「安心せい、これは悪い夢なんじゃ。ワシ等に出来ることは、この夢が一刻も早く覚めるようにただ祈り、信じることだけじゃ。−−−−−何も、心配することはない。」





−魔導図書館−

とある森の奥深く、そこに天高くそびえ立つとある建物がひっそりと佇んでいる。あまりの高さに、建物の天辺が雲間に隠れてしまっている。
ここは、古今東西のありとあらゆる魔法書が保管されている、魔導図書館。
中に入れば、四方八方をぐるりと囲む棚に部類ごとに魔法書が敷き詰められている。エレベーターなどそんな最先端なものは無いため、移動手段は本棚と本棚に隔てられた細い道を渡るか、本棚に不安定にかけられた梯子のみだ。
古き時代の魔法書も置かれているため、考古や歴史的に残る神聖な場所ではあるものの、訪問者は年に両手で数えられるほどしかいないため、常にどこか埃っぽい空気が漂っているのが難点……のはずが、今日は常より空気が澄んでいる。……換気でもしたのだろうか?

「………。」

そんな魔導図書館の少ない訪問割合の約9割にあたる男−−−バンリ・オルフェイドは、先程から解除魔法に関する魔法書が置かれた棚を行き来し、魔法書を取り出しては読み、取り出しては読みを繰り返していた。

「………。」

バンリは右下にあった、ここに来てから37冊目となる魔法書を手に取ると、器用に梯子に足をかけたままバランスをとり、その状態で風詠みの眼鏡をかけ直し本を開く。
最新版の風詠みの眼鏡なので、通常の120倍の速度で本を読むことが出来るため一冊読み終えるのに5分もかからない。バンリはその魔法書を読み終えるとすぐさまその隣の魔法書に目を通していく。

(……おかしい。俺の記憶が正しければ、確か…この棚にあったはず……。)

そんなバンリに、背後から忍び寄る影が一つ−−−−−。
魔力から発する気配を消し、息を殺し、音一つ立てずにそっと腕を伸ばして……

「っ!」
「わっ……と。」

忍び寄る影があともう少しで肩に触れそうになったところで、バンリは目にも留まらぬ速さで振り返り、いつの間に手にしたのか腰に差していた小刀を振りかざす。

「えっと、す、すみません!驚かせてしまいましたか……?」

白い花の髪飾りがあしらった長い群青色の髪を揺らしながら小首を傾げる少女はバンリの紅玉(ルビー)のように赤い瞳を真っ直ぐ見つめながら問いかける。
その少女はなぜか、翼が生えた青色瞳を持つ白馬に跨っていた。

「……何者だ。」
「そ、そんなに睨まないで下さい。怪しい者じゃないですよ?……って、これ言ったら余計怪しまれちゃいますね。」

少女からの質問には一切答えず
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ