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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
第二章 王子三人
第二十五話 師弟二人
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いや、真実さ。それに、この話を知っているのは俺だけじゃあない。他にも大勢いる。今ここで知っているのはこの俺一人だがな」

そ、そんな!だとすると、真実だというのか…。だが…

「ど、どうして、そのようなことを俺に教えた…?、何故なのだ!」

「それは、多くの民を己が復讐心のために犠牲にし、この世界から最も大切な存在を消し去ろうとした大罪人であるお主を裁くためさ。お主、まさかここから生きて帰れるなんて、思っていやしないだろうな!」

その言葉が合図だったのか、時を同じくして俺の両足首を激痛が襲った。何だ?斬られた?背後を振り向くと地面から頭とナイフを持った腕だけを出した女が地面を泳ぐかのように遠ざかっていくのが見えた。あの術、まさか奴らが!?

「あれは地行術!?ぐおっ!」

それに気を取られている隙に利き腕の手首を矢で射抜かれ、手から剣が零れ落ちた。拾おうとしたが、両足に力が入らずに崩折れ、両膝をついてしまった。

更にその隙に、あちこちの階段から松明を片手に多くの兵士が駆けつけ、俺と二人の王子の周囲を遠巻きに囲んだ。その上、その人垣を縫うかのように一際強い気配を放つ強者たちが現れ、俺の周りに白刃の壁を築いた。ダリューン、キシュワード、バフマン…、他の者の名前は判らぬが、いずれ劣らぬ強者ばかりであろう。しかし、その中にバフマンまでがいるとは…。

◇◇

万騎長二人と、ほぼそれに匹敵する剣腕を持つ者たちがヒルメスを囲むのを待って、地行術で地面を泳ぐように移動していた人影が俺の傍らに浮かび上がった。三人娘の一人、医者としても天賦の才を持つレイラだ。こいつはエステルの背中に、女性の身には余りにもむごいほどの傷跡が残ったことに心を痛めていたからな。諜者として習い覚えた魔道の技でヒルメスを不意打ちすることに何の躊躇いもなかったようだ。

そして、ヒルメスの右手首を撃ち抜いたのはラクシュの放った矢であった。

「ヒルメスさん辺りだと余程大きな隙でも出来ない限り察知されて矢を斬り落とされるだけだよー」と言っていたが、レイラの不意打ちはそれに余りある隙を作れたようだ。ヒルメスは暗灰色の衣の奴ら以外に地行術を使える奴がいるとは思っていなかっただろうからな。一瞬は奴らが裏切ったかとまで疑っただろう。それがつけ目だった。

とにかくこれでヒルメスは、原作のように襲い来る剣環から身を守ることも、城壁から飛び降りて濠へと逃れることも叶わなくなった訳だ。そんな剣環の中から、一人の男が半歩進み出た。見事な白髯を持つ現存する最古参の万騎長、バフマンだ。

「儂はこの男の元師匠なのでな。ここは儂に任せてもらおうか。何、逃しはせんよ。ただ、我が手で引導を渡したいだけじゃ」

「ば、バフマン…」

その言葉にヒルメスが喘ぐかのような声
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