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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
第二章 王子三人
第二十四話 密書発見
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シュワード殿が顔面蒼白になったバフマン殿を伴って戻ってきた。バフマン殿の体は小刻みに震えてすらいる。これ程の宿将がそれ程動揺するようなことが、この手紙には書いてあるというのか?
「お揃いのようだな。では中身を改めようか。じゃあラクシュ、お前が読み上げろ!」
「いいの殿下ー?私のアニメ声じゃあ緊迫感無くなるかと思うんだけどー?」
「いいや、かえって深刻さが紛れるだろうさ。いいから読め」
「へーい」
そうして、彼女は読み上げ始めた。…あにめ声というのが何のことかは判らないが、確かに気の抜けるような声色だな…。
その手紙の恐るべき内容はこのようなものだった。
第一に、過去十年ほど、エクバターナ周辺の大陸公路には戦乱が絶えず、商人たちの間からアンドラゴラス王の大陸公路の守護者としての力量を危ぶむ声が上がっているということ。
第二に、アンドラゴラス王は登極に先立って、先王オスロエスを弑した可能性が高く、その即位は無効と思われるとの風説が存在すること(ただし、ヴァフリーズ自身はその風説を信じていないそうだ)。
第三に、その風説を受けて王国要人の中にはアンドラゴラス王を玉座から引きずり降ろすことを画策する者が現れたということ。
第四に、彼らはアンドラゴラス王の代わりにヒルメス王子を正統の王として擁立しようとしているらしいこと。
第五に、アルスラーン王子は王家の血を引いておらず、生まれこそ中程度の騎士の子に過ぎないが、心映え素晴らしく、何より御年五歳の時既に宝剣ルクナバードに次代の王と認められてもいるということ。
最後に、バフマン殿はヒルメス王子の剣と弓の師であったことから、心情的にはヒルメス王子に近いのかもしれない。その血筋をこそ尊しと考えるかもしれない。だが、宝剣ルクナバードに認められ、王太子として冊立されたアルスラーンをこそ、次代の王と認め、忠節を尽くして欲しい。伏してお願い致す。と、そうまとめられていた。
…なるほど、つまりバフマン殿はアルスラーン殿下が王太子でありながら王家の血を引いていないことを知り、忠誠を向ける先を見失ってしまった、ということなのか。そして、ダリューンはヴァフリーズ老にアトロパテネの戦いの直前にアルスラーン殿下個人への忠誠を誓わせられている。自分の甥までもが忠誠の対象を見失ってしまわぬようにということか。
しかし、ヒルメス王子が王家の血を引いているのに対し、アルスラーン殿下は王家の血を引いておらず、その正統性の裏付けは宝剣ルクナバードの信認のみか、心映えなどと言ってもそれを知らしめる機会に今まで恵まれてきたとも言えないしな。現時点ではアルスラーン殿下に分が悪いかもしれない。
「それでは私は、私は…」
殿下の瞳が力なく揺れている。まずいぞ、王家の血を引
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