第6話
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の挙動ではなかった。全身を包んで光の珠に見えるほどの噴射炎といい、跳んだ方向の反対側に一瞬だけ吹き上がった噴射炎といい、アホらしいほど推力任せの力技だ。その力技に耐えられる、機体と搭乗者の耐久力。何しろ運が良くてクラッシュ、悪ければミンチになるほどの動きだ。機体もそうだが搭乗者のタフさも尋常ではない。
――あるいは無人機か? しかし、この感じは……!
操縦者の生還を考えていないかのような機体の動き。ならばいっそ無人機という可能性もあるが、それにしては機体の挙動に相手の意志が見えすぎるように感じられた。だが、そんなことは目の前の問題に比べれば些細なことだ。
反航戦の攻撃機会は一度きり。そのアプローチに失敗し、敵とすれ違い、先頭集団の護衛機はたちまち後方集団と入れ替わってしまった。彼らが反転して追い付くまでの間、爆撃機部隊の護衛はアプローチに入らなかった少数の先頭集団の残りと、敵の後方から追いすがる元後方、現中央集団に任せるしかない。
つまり、攻撃に失敗した今この時、敵と爆撃機部隊の間には遮るものが何もない。敵と爆撃機の速度差は倍以上。易々と爆撃機部隊の中央に踏み込まれるのも当然だ。
速度を爆撃機に合わせたため、敵の全身から噴き出していたように見える噴射炎が少し弱まる。そうして幾らか見えるようになった敵の姿は、連邦軍パイロット達の予想を裏切るものだった。巨人は巨人でも、ジオンの巨人よりだいぶ小さく、ザクとは似ても似つかない外観をしている。そいつが光の中から両腕を左右に突きだすと、それぞれの手に握られた銃が連続して火を吹いた。次々に食い荒らされていく爆撃機。敵を近づけさせまいと防御火器を全力稼働して弾幕を張るが、次元の違う敵の回避の前にははっきり言って無駄な努力だ。むしろ弾幕の厚さに護衛機が一度散開して離れた為、護衛機の妨害を受けない敵にいいようにやられている。
護衛機としても味方がやられていくのを黙って見ているわけにはいかないのだろう。一斉に高度を上げ、数を減らしていく爆撃機部隊の中心、暴れまわる謎の巨人へ向けて急降下を開始した。
ミサイルが振りきられるというのなら、敵と味方による弾雨の中に飛び込んででも機銃の直接照準でケリをつける……というわけなのだが、それをやろうと思う気概もやってのける腕前も並みではない。もちろん、ある程度の勝算あってのことだ。
敵は爆撃機部隊に足を合わせたため、速度が大きく落ちている。マッハ2から亜音速まで速度を落としているのだから、半減以下だ。爆撃機部隊を狙い続けるために足を合わせた。それは攻撃の為の正解の一つかもしれないが、まだ護衛機がいる状態で速度を落とすというのは油断か、驕りか。どちらにしても、その隙を見逃す連邦軍パイロット達ではない。闘争の場において隙を突くのは礼儀ですらある。突ける技量があ
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