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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
第二章 王子三人
第二十二話 一行離散
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ゾット族の娘と行動を共にすることになってしまったこと、そして、何故だかそのゾット族の娘、アルフリードに気に入られてしまったこと。

「お主は年の離れた女性と縁がある」と何年か前に、シンドゥラのラジェンドラ王子に言われたことがあった。そのときは何を馬鹿なことをと内心思ったのだったが、ことダリューンに限ってはラジェンドラ王子の言葉は的中していた。確かに、遥か遠方の国にいた運命の女性を、手を離すこと無く連れて帰ってきた。

だとすれば、俺の運命の赤い糸はこの俺とはちょうど十歳違いのこの少女の小指につながっているのだろうか。それにしても年下か、俺はむしろ…。いや、何も言うまい。

正直、ダリューンが結婚したというのは衝撃だった。何という絶世の美女と思ったが、それもそのはず実は絹の国の公女殿下なのだという。事あるごとにのろけられるというのがこれ程辛いものだとは思ってもみなかった。俺もこの戦が片付いたら、と思わないでもなかった。

それにラクシュ殿にも言われたのだ。

「多分、ダリューンさんは親子二代に渡ってアルスラーン殿下に仕えるつもりだろうに、ナルサスさんは自分一代限りにするつもりなの?不忠者だねー」と。

いや、エラムがいるではないか。あれはよく出来た子だ。十分俺の後釜が務まるとは言ったのだが、

「でもあの子と一緒なのはここ数年だけなんでしょ?生まれたときからじゃないと、親の背中を見ながら育つんじゃじゃないと伝わらないものってあるんじゃない?まだ若いんだからちゃんと相手見つけなよー!」というのだ。

確かにその通りかもしれないとは思う。それに軍師なんて因果な商売だ。謀を帷幄の中に運らし勝つことを千里の外に決す、などと言うが、逆に言えば、戦場から千里離れても心は戦場から決して離れることはないのだ。常在戦場なんてうそぶく戦闘狂と大差ない、度し難い生き物なのだ。そんな俺を好いてくれる女性など果たして他に現れるのやら。

そうだな、あと二年待とう。他に俺を好きになってくれる妙齢の女性が現れるかもしれないし、アルフリードが俺の想像を超えるほど素敵な女性に成長するかもしれないし、アルフリードが別の男性に心惹かれることもあるかもしれないし。そのときを待って結論を出そう。俺はそう決めたのだ。だからエラム、そんなに俺を睨むな。青い果実にうつつを抜かす見下げ果てた最低野郎めが!と言わんばかりの視線を向けるのは頼むからやめてくれ。

◇◇

パルス暦320年12月12日、急ぎに急いだ俺たちはようやくペシャワール城塞に到着した。したのだが…。

ちょっと待て!何で完全武装、臨戦態勢で待ち構えているんだ?ちゃんと先触れだって出しただろう?

は?何だよ、ジャスワント。何をクスクス嗤ってるんだよ?

「自分の胸に手を当てて考えてみては
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