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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
序章 王都炎上
第二十話 騎士見習
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いエトワールってことは、あのエステル・デ・ラ・ファーノだね、きっと。うちの殿下に聞いたことがあるわー。真面目一辺倒なアルスラーンが唯一心惹かれるかもしれない女の子。真っ直ぐで一生懸命で、庶民として育っていた時期はともかく、王宮で育てられるようになってからは決して出会うことがなかったタイプであるらしい。見つけたら決して殺さずに、アルスラーンの所に連れて行くようにと、うちの殿下からは言い含められていた。

なのに、それがどうして私をこんなにしつこく執念深く追いかけてくるのー。冗談じゃないよー。

「ちょっと待ってよー。伯爵とか、バルカシオンとか、そんな人知らないよー。人違いだってばー」

「しらばっくれるな、弓の悪魔!ジャン・ボダン大司教だけでは飽き足らず、バルカシオン伯爵まで射殺しおって!伯爵は私の恩人だったんだぞ!それをよくも!」

あー、そういうことねー。街の噂で私が「弓の悪魔」って言われてるってのは聞いてはいたよ。至高の聖職者を手に掛けた悪魔のような異教徒、人間離れした弓の使い手、それで「弓の悪魔」ね。何かこう、ひねりが足りないよね。もっと厨二病魂が震えるようなナイスなネーミングはなかったんかーい!それはともかく、その伯爵って人は何者かに弓で殺された。そして、さっきも王宮目掛けて矢を放ってた怪しい人物がいた。それは全て弓の悪魔と思しき私の仕業だろうってことなのねー。よく判ったよ。判りたくないけど。

「ええい、ちょろちょろと逃げよって!いい加減我が刃にかかるのじゃ!」

「うわわっ!」

おっと、今の一閃、首筋をかすめたよ!これ、騎士見習いの太刀筋じゃないでしょー。何でこの腕で見習いなんてやってんのさー。これはちょっと私の腕じゃ殺さずに連れて帰るなんて無理だよー、殿下。それにしつこいし。さっきからどんだけ振り切ろうとしても、全然駄目だしさー。

おっ、そうだ!閃いた。このまま追いかけさせて、アルスラーン一行のところまで逃げ続けよう。そこにはダリューンさんもナルサスさんもシンリァンさんも、あとギーヴさんとかもいる。彼らが束になってかかれば、生け捕りだって難しくはないはずさー。

ざん

そんなことを考えながら向かい風に向かって突き進む中、頭のすぐ後ろでそんな音が聞こえた。

あれ、今なにか斬れた?あれ、髪が?髪がー!ポニーテール美少女と名高い私の髪の馬の尻尾部分がー!ちょっ、マジでヤバい、この子本当に強いって!生きて帰れるの、私ー?

◇◇

パルス暦320年、アトロパテネでの敗戦の後、国王アンドラゴラスの消息は途絶え、王都エクバターナはルシタニア軍により陥落せしめられた。このときをもってパルス王国は滅びた。周辺諸国の史書にはそう記載されることとなるだろう。それをただのカイ・ホスロー王朝の終焉のみでとどめ
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