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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
序章 王都炎上
第二十話 騎士見習
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た。おや、この男パルス兵だ。そして、おそらくカーラーンの一党に属してルシタニアの走狗となっている者だろう。俺たちは目線で合図しあい、奴を追いかけ袋小路に追い込んだ。

「さてと、話してもらおうか!国王夫妻の居所をな!」

◇◇

「待て、待つのだ!伯爵様の、バルカシオン様の仇め!この騎士見習いエトワールがこの手で葬ってやる!」

そう叫び、やたらと剣を振り回してくる小柄な騎士見習いに私、ラクシュは追いかけられている。街中で見つかり、何とか乗ってきた馬のところまで逃げ延び、王都から脱出して安心したのもつかの間、この子単騎でどこまでも追いかけてくるんさー。ああもう、どうしてこんなことになるのさー。


「母上がルシタニア国王に結婚を迫られている!?…そんな、そんな事を許す訳にはいかない…。一刻も早く母上をお助けしないと…」

王都から戻ってきたナルサスさんたちからもたらされたバッドニュースにアルスラーン殿下は一瞬呆然とした後、そう呟き、すがるような目を私たちに向けてきた。いや、そんな顔をされてもねー。正直無理だよー。ここに居る人数だけで、王宮からタハミーネ王妃を助け出そうなんてさー。

あ、シンリァンさんが、まだあわてるような時間じゃないとアルスラーン殿下に語りかけてる。ナルサスさんやダリューンさんもそれに同調してる。そうだよねー、そもそもそんなの他のルシタニアの人たちがやすやすと認めるはずがないしさー。

「確かにみんなの言うとおりだ。今は私の感情より、この国を救うことを考えるべきなのだろう。だけれど、母上は敵中にたった一人で、さぞ心細い思いをされているだろう…。何とか母上の気持ちを安んじて差し上げることだけでも出来ないだろうか」

うーん、けなげだね、アルスラーン殿下は。あんな、冷たい自己チュー女をそこまで気遣うなんてねー。ここはこのラクシュおねーさんが一肌脱いであげるとしようか。よし、いつもよりほんの少しだけ丁寧な口調をこころがけて、と。

「アルスラーン殿下、私はそのお優しい気持ちに大変感銘を受けました。ならば私が王宮に矢文を打ち込み、殿下のご無事をお知らせ参らせましょう」

「おいおい、ラクシュ、王都にはヒルメス王子だって居るんだろう?お前じゃあ見つかったらひとたまりもないぞ?」

ギーヴさん、止めてくれるな。それに私は大丈夫さー。

「ふふん、ギーヴさん、心配ご無用なのさー。実はねー、ヒルメス王子は火が弱点なのだよ。昔焼け死に掛けたからねー。それさえ知ってれば何とか逃げるくらいは出来るさー」


ってな訳で、王都に忍び込んで首尾よく王宮の王妃様がいる辺りに矢文を打ち込めたまでは良かったんだけどねー。何処かでこの子に見られてたみたいなんだよねー。何だかずっと追ってくるんだよー。

騎士見習
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