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インフィニット・ゲスエロス
閑話4 ヒカルノと太郎(表面)【前編】
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「おおっとー」

すかさず手を伸ばし、それを抜き取る。

「へっへー、良い暇潰しみっけ」

そう呟きながら、ヒカルノはその本をめくる。

その本の題名には、こう、書かれていた。

高校卒業アルバム、と。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ヒカルノが太郎とあったのは、高校の入学式であった。

…………まあ、壇上に上がっている太郎と、それを下から眺めている私、という構図だが。

その頃の私は、まさかその男が旦那になるとは、全く考えてなかった。

そもそも、多分太郎の方も私個人なんて見てないだろうし。

実際、彼…………太郎と頻繁に話すようになったのも、入学式の数日後、太郎が私が仮入部していたパソコン部に来たからである。

…………パソコン部の部費を、十円にするという死刑宣告と共に。

「「「はぁ!?」」」

当然、当時部室にいた人間達は全員で文句を言ったが、太郎は、どこ吹く風とばかりに、言葉を続けた。

「…………先月の部費使用内訳」

ぼそりと、しかし聞こえるように口にしたその言葉に、部室の何人かが反応した。

それすら無視して、太郎は淡々と事実を羅列する。

「雑費…………御菓子類が八割、二割が飲みもの。交通費、半分が私用。最後に設備修繕費に手をつけて、ゲーム機購入…………」

言い終わったあと、ジロリと眼鏡越しに睨み付ける太郎に、当時の先輩達は震え上がった。

あ、これあかんやつや。

…………私は仮入部という形で弄らせてもらったパソコンに目を反らした。

『私』は、やってないし(ポッキーをかじりながら)

更に太郎は続けた。

「あのなあ!俺だって同じ高校生、部室の中の事にグチグチ言いたくねえよ!だけどお前ら迂闊すぎる!」

恐らく会計用の書類であろう、紙束で机を叩きながら、説教続行。

「隣の生物部を見習え!テレビに繋いだゲームは家からの持ち出しだし、御菓子も同様。交通費を使うときも、私用と公用を混ぜるために、ちゃんと行った場所で必要な物を買って請求してる。ここまですれば、ばれないし言わんわ!」

水槽ポンプ代、と書かれた領収書の店の場所は、電気街やマンガ、ゲーム店が立ち並ぶ駅の名前が書かれていた。(恐らくこの駅である必然性はないが、部の備品をちゃんと買っているのでOK、なのだろう)

ちなみにその下には、淡水魚捕獲とレポート作成という名目で電車の一日パス券の、人数分の領収書などが連なっている。

なるほど、さっさと現地でレポートを仕上げてしまえば、後に残されるのは自由時間と一日パスのみ、という訳か。

…………真の意味でヤバイのは、高校生の身分でそんな粉飾決算工作を行える生物部の方ではないだろうか?

そう、下
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