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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第5話
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星を全喪失した今、GPSや衛星通信の類いは一切機能しない。地上からの管制が頼りなのだが、天然のチャフが空にあるため迂闊に高度を上げると通信が切れる。なので高度を上げられない。
 遮るものない大空を飛ぶ低高度の輸送機。日中はさぞ見つかり易いだろうが、ならば夜間飛行をすれば良い、というのは素人考えだ。常時通信妨害されているこの時期では、長距離通信自体が不可能だ。飛んでいる間、常に地上からの管制を受けるわけではない。管制を受けられるエリアと受けられないエリアがあり、受けられないエリアの方がずっとずっと広い。この管制を受けられないエリアで空軍機はどのようにして飛んでいるのかと言えば、地図と地面を見比べて飛んでいる。
 本来なら星を見て飛ぶ天文航法を行うべきだが、核の冬によって空は塵に覆われて見えない。星が見えないのだから天文航法は出来ない。雲の上に出れば天文航法は可能だが、舞い上げられた粉塵はジェットエンジンの天敵だ。これを大量に吸い込むとエンジンが壊れるため、雲の中を突っ切る事などとても出来ない。普通に墜落するだろう。それを避ける為にも地文航法しかないのだ。地上が見えなくては飛べないのだから、夜間飛行は不可能。日中、低高度で飛び続けるしかない。そしてゲリラの携帯式対空ミサイルに襲われる。
 雲の中を突き抜けて雲の上に出ると墜落必至。雲の下を飛ぶと撃墜の恐れあり。嫌な二択だが、まだマシな選択の先も救いはない。粉塵はエンジンの奥深くにまで潜り込み、その除去には非常に手間がかかった。通常の整備手順では対応できない。そのため次々にエンジンを交換して急場をしのぎ、その間にひたすら分解整備に励む。だが、予備のエンジンの数は無限ではない。飛べば飛ぶほど、ただ飛ぶだけでまともエンジンが減っていく。エンジンがなくなれば飛べなくなる。飛べない空軍に意味はない。ただのブタだ。
 不幸中の幸いと言うべきか否か、核の冬は長続きしなかった。やっと制限飛行から解放されたと喜ぶ彼らだったが、その喜びは長続きしなかった。雲が晴れて地上がよく見えるようになった為、マスドライバーによる地上攻撃が始まったのだ。主な攻撃対象は主要軍事拠点と空軍基地。地球連邦政府が講和に応じなかった為、ジオン公国軍は地球侵攻する他なくなったが、宇宙から地上は地続きではない。空を経る必要がある。安全に地球侵攻部隊を降下させる為には地球の空軍を叩いておくことは必要不可欠なのだ。宇宙の目から隠れようにも、長大な滑走路と巨大な格納庫がある空軍基地は隠れようがない。空軍は徹底的に叩かれた。

 地球連邦軍地上部隊は、このような情勢下でジオン公国軍と戦う羽目になっていたのであった。
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