第5話
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動に駆り出されては市民に銃を向けた。コロニー落としと経済恐慌によって人々は物心両面から追い詰められており、犯罪が急増。暴動の発生も頻繁であり、警察力はたちまち飽和し、現地政府は連邦軍に治安出動を依頼する他なくなっていた為だ。護るべき連邦市民に銃を向けるだけでも迷いがあるのに、発砲命令が下った日には部隊の士気はどん底、お通夜状態である。
こうなると兵の中には脱走という選択肢を取る者も現れるのが世の常だ。海軍や空軍に比べて陸軍は脱走が特に起きやすいが、常ならぬ事態として、地球連邦軍の地上部隊で脱走は殆ど起きなかった。代わりに大量に届けられたのが除隊申請である。戦時なら除隊は認められないが、地球連邦政府はジオン公国を国家として承認していない。実体はともかく建前の上では、地球連邦政府にとってジオン公国との戦争は地球連邦政府とサイド3現地政府間における紛争なのである。戦争ではない。戦時ではないが故に殺到した除隊届を棄却できない。後に南極条約に伴ってジオン公国の主権が認められ、ようやく地球連邦軍は戦時体制に移行したが、その頃には陸軍の人員は戦前の6割に落ち込んでいた。
空軍は、前二者と比べればマシな状況に見えたが、実際は陸軍より酷い。沿岸部が壊滅した為に海上輸送が出来ず、暴動多発の為に陸上の物資輸送は難航した。つまり物資輸送は空軍に一任された。輸送機を飛すのだが、墜落が相次いだ。撃ち落とされたのである。
地球連邦政府が成立する前、地球環境は人口の増加に耐えかねて危機的水準にあった。宇宙移民は文字通りの意味で地上の口減らしの為に行われたのである。当然と言うべきか、宇宙移民政策には反対意見も多かったが、推進派の国々は連合を組み、反対派の国々を軍事力で捩じ伏せ、宇宙移民政策を推し進めた。この時の、いわば勝ち組の連合軍が地球連邦軍の前身なのだ。
国家が滅んで軍隊が消滅しても、民衆は消えない。地球連邦軍はゲリラと化した残党を相手に戦い続けてきた。この間、地球連邦軍が実戦経験を蓄積するのと同じく、反地球連邦組織も実力を蓄えた。何しろ宇宙移民政策が進められて地球はガラガラだ。隠れ潜む場所には事欠かない。そして彼らは今次戦争を見逃さなかった。過疎または無人地帯に潜伏していた彼らはコロニー落としの被害も小さく、地上で暴動が多発するのに合わせて活動を激化させた。その彼らの頭の上を輸送機が飛んでいくのである。これを狙わない訳がない。
一方で地球連邦軍だが、彼らもわざわざ撃墜される為に輸送機を飛ばしているわけではない。高度を上げれば済む話なのだが、それが出来れば苦労はない。高度をヒョイとあげられない事情が存在した。
核の冬だ。コロニー落としと連鎖する噴火で舞い上げられた粉塵は空を覆って核の冬をもたらした。この粉塵は天然のチャフであり、レーダーも通信も阻害する。そもそも衛
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