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才能売り〜Is it really RIGHT choise?〜
Case2-2
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てあたしに差し出した。あたしは緊張しながらもそれを手に取る。灯さんは何かカウンターをがさごそやりながらあたしの方を見ずに言った。
「これが君の答えだよ」
 そしてあたしは、
 見た。
 鏡の中に映っていたのは、絶世の美少女だった。
 くりくりしたつぶらな目。綺麗な二重でまつ毛が長い。つやつやした紅い唇にはどこか蠱惑的な美しさがあり、あたしの肌は雪のように真っ白で、髪は夜の闇のように綺麗な黒をしていた。白雪姫ってそんな表現をされるような顔だったっけとあたしは思った。もちろんにきびなんてない。鏡に映ったそれはあたしであってあたしじゃなかった。確かにあたしの顔なんだけど、確かにあたしらしさを残した顔なんだけど、でもあたしじゃない顔。別人みたいな顔、でもあたしの顔だった。
 そしてそんなあたしの顔は、まぎれもない美少女の顔。
 これなら武藤先輩も引っ掛かるだろう。でも、鏡に映ったこの顔を見るとあたしがあたしじゃなくなったような気がして、あたしは少しさびしかった。あんなに大嫌いな顔だったのに、どうしてなのかな。
 とりあえず。これまでのあたしは死んだんだ。
「お気に召したかな?」
 笑う灯さん、優しく穏やかに笑う灯さん! でも、でもだよ、灯さんは奇跡を起こした。この現実世界じゃあり得ない奇跡を!
 だからあたしは思ってしまったんだ。この人を、「悪魔」だと。
 非日常を運んでくる、現実世界に舞い降りた悪魔。この人はそう表現するのが正しいのかもしれない……。
「君が対価として払ったものは、今ここで証明することはできない。でもいつか気付くだろう、君は何を得て、代わりに何を失ったのか」
 得たものは絶世の美貌、失ったものは料理の腕。
 得たものについては良くわかったけれど、失ったものについてはまだ実感がない。
 それでも、願いはかなったんだ。拍子抜けするほど、あっけなく。
「……行くよ、きらら」
 だからあたしは鏡を返して、放心するきらっちの手を引いて店を出た。

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