第5話 過去と少年
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行った。
拾った石を、空へ放り投げる。高く高く、空へ近づいていく。
そして────空中で何故か漂っていたジブリールに当たり、またも実験は阻止された。
「……えっ」
「おやぁ?先ほどのお客様ではございませんか♪」
想定外の事態に呆けたシグを、目の前で膨らむ殺意が叩いた。
質量を持ったかのような視線────神殺しの兵器が向ける殺気。そんな次元違いの感情に当てられて平気でいられるほど、人類種のメンタルは強くない。
「────やべえ逃げろッ」
シグは、逃走する事を即断した。
パルクールを今すぐ勧められそうな身のこなしで、実験も中断してその場を離れるシグ。その様子を見て────ジブリールは、ぽつりと呟いた。
「今の目は理性的でございました……つまり逃走は、恐怖故の行動では無いという事ですか。
本能が恐怖するはずの殺意を前に、一切の恐怖もなく理性的な判断を下す────そもそもそんな事が出来る時点で、ただの人類種では有り得ません。
やはり彼は────シグは、警戒に値する敵でございますね」
ジブリールは、逃げ出すシグの目がまるで恐怖に染まっていない事に気づいた。つまり、シグは恐怖に駆られたフリをして逃げ出したのだ。
シグは、何故ジブリールがここにいるのかを理解したのだろう。それ故に、理性的にここを離れるべきと判断したのだろう。ならばシグは、少なくともジブリールの意図を読めるだけのゲーマーではあるという事だ。ジブリールはそうシグを評し────要警戒、そう判断してシグの後を追った。
「危ねえ……警戒されてたな……」
シグは、息を少し切らしながら呟いた。ジブリールに監視されていた、それに気づけなかった事を悔やむ言葉だった。
────ジブリールがなぜ、あの場にいたのか。
偶然、とは考えられない。そもそもジブリールは空間転移が出来る。あんなところでふらふらとする理由がないのだ。
つまり、ジブリールは街道ではなく────そこにいる誰かを目的としていたと、逆説的に考える事が出来る。先ほど俺は『 』の喉元に迫った、故にジブリールが『主にとっての脅威』と俺を認識したなら────監視する理由には十分だろう。
俺以外の誰かを監視していた可能性は────恐らくは無いだろう。俺以外の誰かを監視
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