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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
序章 王都炎上
第十八話 一行合流
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息を殺していたらしき者が姿を現し、声を発した。
「そ、その声、まさかシャーヤールか!」
声の主は森の闇から抜け出してきたかのような黒づくめの甲冑に身を包んでいた。それを私が他の誰かと見間違えることなど決してない。
「ようやく会えたのう、我が良人ダリューンよ。ちなみにシャーヤールはここじゃぞ、ほれ!」
私は懐からシャーヤールを取り出し、夫に渡してやった。夫はいつものようにオロオロしながら受け取るが、大丈夫じゃぞ、そんなに慌てなくとも。この子は物に動じぬからどんな抱き取り方をしてもむずがらぬ。その上、先程のように父親の気配にも誰より早く気づく。実に聡い良い子じゃ。この男の血が半分流れているとは思えぬほどにな。
「お主、どうしてここに…。大人しく夫の帰りを待つようなしおらしい女とは元より思ってはいなかったが、まさかこんなところで会うとは…」
「ご挨拶じゃのう。お主なら戦に負けても必ず生き残って再戦を誓うじゃろうからな、そんな夫に力を貸そうと都から抜けてきたのだが、迷惑だったか?」
「いや、正直助かるが…、それでお主一人なのか?」
茂みが揺れ、他にも人影が現れた。髪の長い、貴族的な優美な顔立ちの男と、後ろには少年二人。少年の片方はもう一方の少年を守るかのようでもある。
「ダリューン、どうした?誰か来たのか?その女性は?ん、他にも居るのか?」
「やっほー、ダリューンさん、ナルサスさん、エラムくんとアルスラーン殿下!ラジェンドラ殿下の忠実なる部下ラクシュ、只今参上なのさー!」
ラクシュ殿が隠形を解いて現れ、全員の名前を言ってくれたか。有り難いのう。
「おい、俺も居るって言ってくれよな!おお、ダリューン卿、お主うまくやったな、こんな美女と結婚してるなんて!」
そう言えばこの男、ギーヴ殿もいたな。女たらしとラクシュ殿には言われているが、シャーヤールをあやしてもくれるし、それだけの男では無さそうじゃがな。
「ナルサス、前にも話したがこれが俺の妻シンリァンと息子のシャーヤールだ。…しかし、ラクシュ殿やギーヴ卿まで何故ここに?」
「カーラーンの部隊に追われて難儀してるであろうアルスラーン殿下御一行をお助けするようにって、うちの殿下に言われたのさー。殿下は軍勢を率いてペシャワールに向かうから、そこで会おうってさー」
その言葉にナルサス殿の表情が強張り、我が夫が顔をしかめる。おや、ラクシュ殿のところの殿下は好かれておらぬのか?だが、アルスラーンは目を輝かせておられるな?
「おお、ラジェンドラ殿が遣わしてくれたのか!あの御方は本当に私などをよく気にかけて下さる!それこそ、本当に我が兄であるかのように!」
更に二人の表情がひどいことに…。エラム殿まで…。
…まさか折れ
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