ココヤシ村編
交錯する意志
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るナミの姿だった。
ナミにとってアーロンは憎くて、憎くて仕方なかった。
アーロン一味の象徴であるタトゥーが憎くて仕方がなかった。
ノジコが必死の形相でナミの奇行を止めようと声を張り上げるも、ナミは止まらない。
そして、遂にナイフがナミの肩に突き刺さる瞬間……
後方から伸びた手によってナミが振り上げたナイフが止められた。
「あんた、さっきの……」
「……」
涙で視界が曇る中、ナミは突如としてその場に現れたアキトを睨み付ける。
どういう原理かナイフを握り締めるアキトの手から血は流れていない。
ノジコはとっくにこの島から立ち去ったと思っていたアキトの登場に驚きを露わにしていた。
「あんたこの島から立ち去ったんじゃ……」
「……」
ナミの射抜く視線とノジコの問いに応えることなく、アキトはナイフを握る左手とは逆の右手を前方へと振りかざす。
状況の理解が追い付かないノジコ達の前に血だらけの再起不能と化した2人の魚人が投げ出された。
「あんた、それどうしたのよ……」
これ、魚人じゃない
辛うじて息をしているが、瀕死の状態の魚人に驚愕を隠せないノジコと村人達
「俺はアキトという者です」
当人であるアキトは当たり障りのない言葉を選び、簡潔に伝える。
「アキト君か……。私はこの村の駐在のゲンゾウという者だ。それで私に何の用かな?」
「これからあなた達はアーロン一味に反旗を翻すつもりですよね?その件ですが俺にアーロンのことを任せてくれませんか?」
どこまでも真剣な表情で話すアキト
先程までノジコと喋っていたアキトとはまるで別人だ。
「あんた……」
ノジコはアキトの突然の提案に驚きを隠せない。
「……アキト君といったか。君の提案は嬉しいが、部外者である君を私達の問題に巻き込むわけにはいかん」
アキトの言葉には譲れない強い意志が感じられた。
予想通りの返答だ。
当然の返答だろう。
あくまでアキトは部外者に過ぎず、偶然、この島に立ち寄った人間に過ぎない。
しかし、アキトも譲るつもりなど毛頭なかった。
「いえ、無関係ではありません。ノジコさんには先程、食事をご馳走になりましたからね」
信じられない。
一度限りの食事の振る舞いで救いの手を差し伸べてくれる人間がいることにノジコは驚愕を隠せなかった。
アキトにとってはアーロンを潰す理由としては十分過ぎる程だ。
目の前で理不尽に苦しんでいる人がいる。
例え、海軍がアーロンの非道を黙認していようが、看過するなど有り得ない。
どうやらアキトは理不尽に晒される人がどれだけ大層な理由を抱え、部外者の手助けを望んでい
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