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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第7話
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隊に致命的に欠けていた手数があるのだ。
 情報を持ち帰らなくてはという思いもあるが、ここで仕留めれば問題ない。だいたい、仲間を殺られてそのまま帰れるものか! その一念が烏合の衆だった彼らを、猟師の群れに変える。

 一流のプレイヤー同士であれば、互いのことをよく知らなくても、即席の連携が成立することがある。最高峰のスタンドプレーは、周囲がそれに追随できるのであれば、それだけで最高のアシスト足りうる。
 反撃の先陣を切った彼ら三個師団は、その末端まで、間違いなく最高のプレイヤーだった。初めこそ速度差に圧倒されたものの、冷静に全体を眺めれば顔がひきつる程の仲間の犠牲と引き換えに、彼らは速度差に慣れた。捉えられないことを受け入れた。教本通りのきれいな戦い方を諦めた。人類史上最大最強の軍隊、地球連邦軍の意地と見栄を投げ捨てた。その結果が、同士討ち前提の猛射である。そこにあるのは、戦士の矜持。
 地上部隊はプロフェッショナルだ。一目で解った。『奴』は強い、と。だからこそ、何が何でも今ここで潰す。ここで倒せなければ、今日死んだ仲間の何倍もの死体が積み上がるだろう。『奴』は何十万、何百万の命を奪い、現代という戦場に神話じみた伝説を打ち立てる存在だ。言い方を替えれば、英雄と言えるかもしれない。或いは英雄が倒すような、英雄でしか倒せないような怪物だ。その怪物と向かい合うのは、軍隊を構成する万単位の凡人達。とんだ貧乏くじを引いた形になった彼らだが、彼らの心は一周回って穏やかだった。貧乏くじを引いたことへの感謝すら懐いていた。
 ジオンの巨人の話は聞いたことはあっても、『奴』のような『怪物』の話なぞ聞いたことがない。自分たちが『奴』に出会った最初のケースで、『奴』の伝説は始まる前に終わる。否、終わらせなくてはならない。『怪物』を止めなければ、その被害は自分たちの命でも購いきれないほどになる。だから今ここで仕留める。今ならここで仕留められる。『怪物』が動き出す前に。

――逃がすつもりも逃げるつもりもない? こっちの台詞だよバカヤロウ!

 『怪物』を倒せるのは『英雄』だけだが、今ここにいるのはただの戦車乗り、ただの大砲屋、ただの兵隊。ただの人だ。英雄なんて一人もいない。どこにいるのかも知らないが、間に合いそうにもない。
 だからなんだ?
 英雄は最初から英雄だったわけじゃない。怪物を倒したから英雄なんだ。だからこの『怪物』は必ず倒す。凡人の自分達が怪物を倒す。『怪物』を倒して英雄になるのだ。だから今ここに英雄なんか必要ない。英雄になる戦士だけが必要で、それは既にここにいる。どれだけ仲間が倒れようと、たとえ自分が倒れようと、『奴』さえ倒せるなら、自分たち以外の誰かを護ることが出来るなら、それこそが勝利だ。そのためなら、全て差し出す覚悟がある。自分たちの命で手
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